危機管理意識ゼロ石破茂の空白の時間

こういった生活は息苦しく窮屈なものだ。ルールを守らない人間が出てくる。小泉政権当時、唯一途中交代した小野次郎秘書官(警察担当)は、夜、どこぞで会食があるのか連絡が取れないことがしばしばだった。警察という危機管理分野を担う秘書官だっただけに非常に困ったものだ。

総裁選に立候補している石破茂元幹事長も、その点では不安が残る。2008年、福田康夫内閣での防衛相時代に千葉県の房総沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船の衝突事故が発生した。漁船に乗っていた親子2人が亡くなる痛ましい事故に、世論では海自への批判が高まった。あまり知られていないが、海自の初動対応が遅れた要因には当時の石破防衛相の空白の2時間がある。午前4時7分ごろの事故発生後すぐに海上幕僚監部が大臣に報告しようとしたものの、所在不明で連絡が取れなかった。その後、5時37分になって、石破氏本人から防衛省に「国会内まで迎えにきてほしい」と指示があり、ようやく話が通じ、大臣が防衛省に到着したのは6時過ぎになってからだった。

通常、現職閣僚の外出時にはSPが同行し、警護にあたるとともに、非常時の連絡も担うが、事故発生時に石破氏はSPから離れていたことになる。防衛相のような国家の安全保障上の重要ポストに就きながら、SPを巻いて単独行動を取るなど、危機管理意識が薄すぎる。石破氏はその後、事故当時の海幕幹部に対して「『あたご』の件は墓場まで持っていってくださいね」とお願いしたというが、一体何を隠したかったのか。そんな隠し事を持つ人間に、国民の安全を託すことはできないだろう。

「寒い北海道の冬を乗り越えるのに、泊原発の再稼働は必要だ」と飯島氏は指摘する。「現状でギリギリ間に合うから再稼働しないということでは、何かあったときの責任が取れない」。(時事通信フォト=写真)

地震発生から5日間で、初動の復旧活動は一息ついたといえるかもしれないが、北海道はこれから冬がやってくる。9月10日を過ぎて急に気温が下がり、電力需要も増加、道内最大の苫東厚真火力発電所の復旧が遅れる中で、綱渡りの日々が続く。

経産省と北海道庁は、計画停電を避けるために、2割の節電を呼び掛けているが、家庭で電気をつけたり消したりしたところで、大きな節電効果はない。家庭で本格的に節電するなら、テレビを見ない時間帯はコンセントを抜いて待機電力をゼロにするのに協力してほしい。最近は家電に高度な機能をもたせているため、スイッチをオフにしているつもりでも、実際には稼働して電気を消費している。使わないときにはコンセントを抜くことが肝心だ。

それでも、今後さらに気温が下がれば、節電などといってはいられなくなるだろう。コンセントを抜いても電力は足りない。苫東厚真が稼働できないまま暖房による電力需要が急増すれば、再度ブラックアウトという可能性もある。しかし、ほんの数時間でも、冬の北海道で暖房が使えなければ人命にかかわる事態だ。ここはやはり、泊原子力発電所の再稼働を検討すべきだろう。

幸いにも泊原発の再稼働には何も問題はない。あとは感情的な反対論を突破する意思の問題だ。原発はすべて廃炉にすべきという意見もあることは承知しているが、人命には代えられない。今回も泊原発が稼働していれば、苫東厚真の負担がここまで大きくならず、全道ブラックアウトという事態にもならなかったという見方もある。

地震のニュースを見ていて、電気がないと情報も入手できないという恐ろしい事態に気が付いた。私もいざというときのために携帯充電器を2台用意した。

(iStock.com/時事通信フォト=写真)
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