きっかけは横綱・日馬富士による殴打事件だった
「貴乃花が安倍首相と極秘に会い、来年夏の参議院選挙に出る」
こんな噂が永田町を駆け巡っているそうだ。にわかには信じられないが、この話に「相撲協会への意趣返し」という意味合いが付け足されると、若干の真実味が加わってくる。
貴乃花と八角理事長が牛耳る日本相撲協会との「遺恨試合」の経緯を少しさかのぼって見てみたい。
きっかけは昨秋に起きた横綱・日馬富士による貴ノ岩殴打事件だった。
現場となったのは鳥取市内にあるラウンジ「ドマーニ」。その場で白鵬が照ノ富士と貴ノ岩に説教している際中、貴ノ岩がスマホをいじっているのを見て日馬富士が激怒、ビール瓶やゲーム機のリモコンなどで殴り、ケガを負わせたのだ。
『週刊新潮』(10月11日号)によると、それに至る伏線があったという。昨年初場所で白鵬は貴ノ岩に金星を献上しているが、その前夜、白鵬のマネージャーが貴ノ岩に何度も「怪しい電話」をかけていた。八百長を頼んできたのだという説がある。
金星を挙げた貴ノ岩は、「俺はガチンコで横綱・白鵬に勝った」と、行きつけの錦糸町のモンゴルバーなどで吹聴し、それが白鵬たちの耳に入ったというのだ。
なぜそこまで「告発状の取り消し」にこだわるのか
事件後、なるべく穏便に収めようとする相撲協会と、警察に被害届を提出して事件の徹底解明を求める貴乃花親方との間に、深い亀裂が入った。
貴乃花は、警察の捜査を優先したいと、相撲協会の危機管理委員会による貴ノ岩の事情聴取を拒否した。そうした貴乃花の姿勢が問題になり、協会の理事を解任されてしまう。
貴乃花も反撃に出る。今年の3月9日、事件に対する相撲協会の対応について問題ありと、内閣府に告発状を提出したのである。だが、その後すぐに、弟子の貴公俊の付け人への暴力沙汰が表に出て、貴乃花は告発状を取り下げざるを得なくなってしまう。
相撲協会側はそれでも矛を収めず、告発状の内容が事実無根であったと認めるよう、貴乃花に圧力をかけ続けるのだ。
なぜそこまで告発状にこだわるのだろうか。『アサヒ芸能』(10月11日号)は一つの「仮説」を提示している。「告発状には相撲の根幹を揺るがすタブーについても触れられていた」(スポーツジャーナリスト)というのだ。