「来年の参院選挙の目玉になる」という噂の虚実

そして「日本相撲協会は1日、貴乃花親方(本名・花田光司、元横綱)から出されていた退職届を正式に受理した。同親方は角界から去ることが確定した。この日東京・国技館で開いた臨時理事会では、貴乃花部屋の力士8人、床山1人、世話人1人の千賀ノ浦部屋への移籍も承認し、貴乃花部屋は消滅した」(朝日新聞10月2日付)。

『文春』に、これからどう生きていくのか問われて、こう答えている。

「人生はまだまだ長いですから。先のことは分からないですが、やれることはたくさんあると思います。外から弟子たちの活躍を見守りつつ、子供たちに神事である大相撲の素晴らしさを知ってもらえるよう、昔のように神社や仏閣に土俵を作ったりとか。私の金銭事情や家内のこととか、いろいろとデタラメが報じられていますけど、今に始まったことではないので免疫ができています」

冒頭の話に戻るが、『新潮』によると、安倍首相とひそかに会い、来年の参院選挙の目玉になるという噂があるらしい。

たしかに、立憲民主党の公認候補として弁護士の亀石倫子氏が決まるなど、各党の第一次候補が決まりつつある時期である。苦戦が予想される安倍自民党にとって、確実に得票が期待できる貴乃花は擁立したい候補ナンバー1だろう。

貴乃花にとっても、議員になって、大相撲改革を推し進めることができれば、相撲協会にとっては手ごわい相手になる。

貴乃花の性格的な問題を指摘する兄・若乃花

だが、話下手で人前に出るのが嫌いな貴乃花に議員が務まるわけはない。兄の若乃花(現・花田虎上)のようなタレント活動もできないだろうから、選ぶ道は限られている。

相撲協会とは別の組織を作るのではないかという声もあるようだが、資金面も含めてそう簡単な話ではない。

相撲道に邁進する姿は見上げたものだが、彼を支える親しい人間は少ない。母親とも兄の若乃花とも絶縁状態だ。

「デイリースポーツonline」(9月30日)は、読売テレビに出演した若乃花の発言として「知り合うと最初は仲良くなったりして、(でも)途中からみんな、話すこともできなくなる。僕も(弟とは)話すことできないので……。嫌な人は向こう(あっちにいけ)、納得いかないと向こう(いけ)、ってなってしまう。何か教えてもらうことも、(耳に)入らなくなる。自分がいいと思った人しか入ってこなくなる」と貴乃花の性格的な問題を指摘する声を記事にしている。

不世出の元横綱が、こういう形で相撲界を去るというのは、栃錦・若乃花や大鵬・柏戸を見てきた世代としては残念としかいいようがない。