複数の週刊誌がモンゴル人力士をめぐる「八百長疑惑」を報じている。だが最大手の「週刊文春」は貴乃花親方寄りの報道を繰り返し、肝心の疑惑に踏み込む様子がない。貴乃花親方は「八百長疑惑」があると考えるのなら、公の場でその考えを述べるべきではないのか。元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏が問う――。
『週刊文春』(1/10号)のトップ記事。見出しは「『貴乃花はクスリをやってるみたいに異様』と吹聴していた池坊保子」。

『フライデー』が報じている重大事実

白鵬が貴ノ岩に「星を売れ」と電話をかけてきた。

昨年の初場所13日目の夜、稀勢の里と優勝を争っていた白鵬が、次の日に対戦する貴ノ岩に“八百長”をしてくれるよう付き人を使って何度も電話をかけてきたが、貴ノ岩はそれを察して、出なかった。

その結果、ガチンコ相撲になって敗れた白鵬が、このことを根に持って、巡業先で日馬富士と共謀して貴ノ岩を呼び出し、暴行したのだ――。

貴ノ岩の師匠・貴乃花親方が支援者にこう語ったと、『フライデー』(1/19号)は報じている。

同様のことは『週刊新潮』(1/18号)も報じている。

「今回の事件の背景を探っていくと、1つの事実に行き当たる。2017年の初場所中の1月20日夜、横綱白鵬の側近が執拗に貴ノ岩に電話をかけていた、という事実に」

文春も、少し前になるが、モンゴル人力士同士が八百長らしき「談合」をやっていて、貴乃花が憤っていると報じていた。

「協会には不可解なカネの出入りがある」

『フライデー』にはこのほかにも貴乃花の重大発言が満載である。

「08年に起きた力士による大麻所持事件や10年の野球賭博問題についても、協会のやり方には不満があります。大麻所持事件は露鵬や白露山だけを処分したが、あれはトカゲのしっぽ切り。横綱クラスの力士にも疑惑はあったんです。野球賭博についても、琴光喜だけに解雇という重い処分が下されたのはおかしい。以前から協会の体制を批判していた私への当てつけでしょう」

琴光喜は貴乃花と昵懇だったそうだ。08年は白鵬が横綱になって2年目である。さらに、

「協会には不可解なカネの出入りがあります。また、両国国技館の改修工事でも、入札を行わずに特定業者が工事を請け負うなど怪しいカネの動きは多くある。挙句の果てには、モンゴル人力士が強姦事件を起こし、それを理事が奔走して揉み消したことまでありますからね。私はいま、弁護士からアドバイスを受けながら、どのタイミングで何のカードを切るのがいいのか、綿密に準備を進めています」

白鵬が八百長を頼んできた、相撲協会と業者との不可解なカネの流れ、モンゴル人力士の強姦事件と、どれ一つとっても相撲界を震撼させるのに十二分な大スキャンダルである。