「廃刊」の発端は杉田水脈衆院議員の寄稿だった

新潮社が9月25日、月刊誌「新潮45」の休刊を発表した。同誌は8月号で性的少数者(LGBT)について「生産性がない」とする寄稿を掲載し、批判を受けていた。

新潮社は「部数が低迷して試行錯誤を続ける過程で編集上の無理が生じ、厳格な吟味やチェックがおろそかになっていた」と説明し、「十分な編集体制を整備しないまま刊行を続けてきたことに深い反省の思いを込めて休刊を決断した」と謝罪した。

「新潮45」は事実上の廃刊に追い込まれた形で、発売中の10月号が最終号となる。なぜこんなことになったのか。

自民党総裁選挙を終えて退室する杉田水脈衆院議員(写真=時事通信フォト)

発端は、杉田水脈(みお)衆院議員(自民)の寄稿だった。杉田議員は同誌の8月号への寄稿で、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性』がないのです」と主張し、批判を集めた。これに対し、同誌は10月号で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題した特集を掲載。さらなる批判を呼び、新潮社と関わりがある作家が執筆とりやめを告知したり、一部の書店が新潮社の刊行物を引き上げたりする騒動となった。

「新潮45」は1985(昭和60)年創刊の月刊誌で、ピーク時の2002年には10万部を発行し、新潮社のひとつの“顔”となってきた。だが、この数年の発行部数は1万5000部程度にまで落ち込んでいた。

「LGBT批判」といった極端な主張を展開するようになったのも、部数低迷に歯止めをかけるための施策だったようだ。だが、部数は伸びず、休刊に追い込まれた。