素晴らしいアイデアも、周囲の支持や許可を得られなければ世に出すことはできない。上手に相手の懐に飛び込み、ゴーサインを勝ち取ろう。
自分でなく他人に価値ある提案を心がける
アイデアは最初の1歩にすぎない。マーケティング・チームと協働するための新しい構想であれ、サプライヤーと協力するよりよい方法であれ、アイデアの価値は、他人にそれを支持させ、実行させることができるか否かで決まる。
最大の障害は、自分が価値とみなしているものに焦点を当てすぎることだ。ウォートン・スクールの戦略的説得ワークショップの共同ディレクターで、G・リチャード・シェルとの共著、『The Art of Woo:Using Strategic Persuasion to Sell Your Ideas』(2007)でも知られるマリオ・ムーサは、「自分にとって納得のゆくことが、必ずしも他人にとって納得のゆくとはかぎらない」と語る。
企業における交渉や、変革への支持を勝ち取る手助けをしてきた経験から、ムーサとシェルは説得の戦略的手法を築き上げている。その4つのステップは次のとおりである。
(1)適切な人に狙いを定める
(2)耳を傾けてもらう妨げとなる障害を取り除く
(3)アイデアのよさを訴える
(4)協力の約束を取り付ける
本稿では、(1)と(2)に焦点を当てる。