現職都議も受験した「選抜試験」の中身

2017年が本格的に動き始めました。さっそく1月10日には安倍晋三総理との会談を行い、アベノミクスが掲げる「2020年ごろに名目GDP600兆円」という目標を達成するため、国と東京都がしっかり連携していくことを確認しました。東京は日本経済のエンジンです。特区制度も積極的に活用しながら、「国際金融都市東京」の実現を加速させます。

その実現は簡単なことではありません。国際的な都市間競争は激化しており、当事者には金融に関する深い知識が求められます。そして当事者とは、知事や都庁職員だけではありません。日本の地方自治は「二元代表制」です。首長と議会が、それぞれの役割を果たさなければ、物事は前に進みません。安倍総理との会談でも、この夏の都議会議員選挙が話題にのぼりました。東京の行く末に注目が集まっています。都議会議員にはこれまで以上に高い能力が必要になることでしょう。

約1600人が受験「袈裟姿」の受講者も登場 1月7日、小池百合子東京都知事の政治塾「希望の塾」は、今夏の都議選への候補者を絞り込むための筆記試験を行った。筆記試験は、論文(約1時間)とマークシート式の適性テスト(約2時間)。約1600人が受験し、この結果、300人程度が選抜される見込み。(写真=時事通信フォト)

私が塾長を務める「希望の塾」では、都議会議員選挙への立候補を目指している人に向けて、筆記試験による選抜を実施しました。試験内容は、約1時間の論文と約2時間のマークシート式の適性テストで、塾生の約4割にあたる約1600人が試験を受けました。試験結果から300人程度を選抜し、さらに専門講座で適性を見極めたうえで、都議選の候補者を絞り込むことになります。

候補者の選抜過程で心がけていることは透明性と公平性です。今回の選抜試験には、「希望の塾」のスタッフである現職の都議会議員や、「7人の侍」と呼ばれる区議会議員も、ほかの受験生と同様に試験を受けました。試験の内容は、現職の都議も頭を抱えるほど難しいものだったようです。

筆記試験で政治家の資質を測れるのか、というご批判もあるようです。もちろん筆記試験でわかるのは、政治家として必要な資質の一部だけです。しかし議員のレベルの底上げは図れるはずです。

国会にも資質の疑われる議員がいます。議会での質問は、国会議員の重要な仕事のひとつですが、なかには自分で質問を用意することができず、答える側の政府職員に質問を書かせている議員もいました。現職の国会議員が今回の選抜試験を受験した場合、合格率はどれぐらいになるでしょうか。