「男系男子に限る」とした首相発言の“誤読”
「愛子天皇」待望論は、新たな局面を迎えようとしている。
高市首相は、皇位継承の安定化のための皇室典範の改正に前のめりになっている。ところが、2月27日の衆議院予算委員会でのこれに関連する答弁が波紋を呼ぶことになった。
高市首相は、皇位の継承は「男系男子に限定される」という考えを示し、その際に2021年の有識者会議の報告書を基にして答弁をした。しかし、その報告書にはそんな記載はなかったのだ。そこで木原官房長官は、首相の答弁は旧宮家の養子案を念頭においたものだと釈明した。
どうやら首相は報告書の内容を誤解したようだ。
また、「男系男子に限定される」という発言は「愛子天皇」を待望する人たちをいたく失望させることになった。女性最初の首相はその道を封じようとしているからである。
しかしながら、失望するのはまだ早い。というのも、「旧宮家養子案」には問題があるからだ。現在の皇族が、戦後に皇室を離れた旧宮家の男子を養子にとるという計画には、重大な障害が待ち受けているのである。そのことについて、高市首相は十分に認識していない。
今回は、その“重大な障害”について明らかにしていきたい。
「人は急に宮さまにはなれない」という吐露
旧宮家の養子案の実現が難しいことは、すでに指摘されている。その点についてはすでに述べた。旧宮家の人々が皇室を離れ、一般の国民と同じ生活をするようになってから、80年近い歳月が流れた。そうした人々が、制約が多い皇族に復帰するのは難しく、間違いなく相当な覚悟が必要である。
宮内庁は、旧宮家の人々にその可能性を打診していない。皇室典範が実際に改正されないと、宮内庁としても動けないのだ。したがって、実際に養子になる男子が現れるのかどうか、現在のところ、まったくの未知数なのである。
旧宮家の一人、伏見博明氏は、2022年に『旧皇族の宗家・伏見宮家に生まれて 伏見博明オーラル・ヒストリー』(中央公論新社)を出版した後、朝日新聞のインタビューに答え、「天皇陛下に言われ、国から求められれば従う」という意向を示した。
養子案を推し進めようとする人たちは、この伏見氏の発言をよりどころにしているのかもしれない。だが、伏見氏は「人は急に宮さまにはなれない」とも語っていた。伏見氏は、現在94歳で存命だが、子どもに男の子はおらず、伏見家は断絶が見込まれている。天皇から求められても、伏見家からは養子を出せないのだ。
旧宮家から養子が出るのか。その可能性を探るには、旧宮家の抱えている複雑な内情に迫っていかなければならないのだ。