2050年に大学進学率85%でないと大学はもたない

少子化の時代になり、経営危機に瀕する大学が増えているといいます。今となっては、私立大学の半分が定員割れしている状況です。

大学入学者の供給母体の18歳人口は、1992年では205万人でしたが、2016年現在では119万人です。2030年には101万人、さらに20年後の2050年には73万人にまで減少すると予測されています。

これに伴い、大学入学者も減ることが予想されますが、「進学率が高まれば何とかなるだろう。増加は見込めなくても、現状維持くらいは大丈夫だろう」と、楽観的な展望もあるかもしれません。

しかし、入学者数の現状維持というのも、なかなか難しいように思えます。今年(2016年)の大学入学者は61.8万人ですが、これを維持する場合、18歳人口ベースの進学率が何%にならないといけないかをシミュレートすると、表1のようになります。

2030年の18歳人口は100.8万人と見込まれています。よって現在の大学入学者数(61.8万人)を維持する場合、進学率は61.3%にならないといけません。2050年には18歳人口は72.5万人にまで萎みますので、現状維持に必要な進学率は85.2%にもなります。

うーん。今の大学進学率はちょうど半分くらいですが、6割、8割にまで高まることがあり得るか。同世代の8割が大学に行く……。ちょっと考えにくいですよね。現在のパイを維持するというのも、たやすいことではないように思います。

そもそも、大学進学率がこれ以上高まるかも怪しい。専門学校に行って実学を身につけたい、という生徒も増えているでしょう。また某記者さんに聞いた話によると、地方の進学校で公務員志望の生徒が多くなっているそうです。大卒枠よりも高卒枠は難易度が低いですからね。大卒学歴を隠して高卒枠で公務員になり、後でそれがバレて免職なんていうケースもよく聞きます。