通勤時間 最長は神奈川106分、最短は秋田51分

昔は自営業や家族従業が多かったのですが、雇用労働の増加に伴い、今では多くの人が自宅から離れたオフィスで仕事をしています。

自宅とオフィスがどれほど離れているかですが、2011年の総務省『社会生活基本調査』によると、35~44歳の男性有業者の平均通勤時間は81分となっています(平日1日あたり)。片道40分ほどですが、これはあくまで平均値。分布の幅はとても広く、1時間半や2時間を超える人もいます。

当然ながら、交通網の発達した都市部で通勤時間は長くなっています。先ほどの値を都道府県別にみると、最長は神奈川の106分、最短は秋田の51分です。2位は埼玉の104分、3位は千葉の102分、4位は東京の98分と、上位は首都圏の1都3県で占められています。

通勤時間が長いとなると、家を出るのが早く、帰りは遅くなり、家庭での憩いや休息の時間が侵食されます。睡眠時間も削らざるを得なくなるでしょう。47都道府県のデータを使って、通勤時間と睡眠時間の相関図を描くと、図1のようになります。

ドットの配置は右下がりで、通勤時間が長い県ほど、睡眠時間が短い傾向にあります。相関係数は-0.7078で、1%水準で有意です。「睡眠時間を削って遠距離通勤、神奈川県民の悲惨」という記事を、どこかのWeb誌で見かけた記憶がありますが、データでもそれが表れています。

左上の秋田はいいですねえ。神奈川の平均睡眠時間は407分ですが、秋田は456分。同じ働き盛りの男性サラリーマンでも、秋田のほうが50分長く寝ることができる。家庭で過ごす時間が長く、子どもとのコミュニケーションの時間も多く取れるでしょう。

秋田は子どもの学力がトップで、前回記事でみたように道徳意識も高いのですが(http://president.jp/articles/-/20705)、こういう条件によるのではないかという気がします。親の生活の落ち着きは、子どもにも投影されるものです。