「理想の男性」と結婚できたと思ったら…
「理想の男性」と思っていた夫が、ある日、520人もの女性と関係を持っている性依存症だということがわかる――。本作は、くさのねむさんが体験したエピソードを元に、パートナーが性依存症だったとわかったら家族は受け入れるべきか? という問いを投げかける話題作だ。
主人公のねむと夫のワリ太との出会いは友人の紹介。奥手で真面目、友人からの評判も良く、将来の考え方も一致するワリ太を「理想の男性」と感じたねむは、ワリ太からのプロポーズを受け入れる。結婚してほどなく子を授かるが、産まれた子は世界で30人以下の症例の希少性疾患を持っていた。
早朝から深夜まで休むことなく働く夫を頼ることができずワンオペで子の介護をしていると、夫は「会社がうまくいっておらず、生活費をいれるのが厳しい」と言い放つ。ねむはそれでも夫を信じ、自身の貯金を切り崩しながら家族を支え続けた。しかし、子が2歳になった頃に夫の鞄から精力剤と避妊具が出てきたことで、夫の裏切りが明らかに。
医療ケア児を抱えながら夫に“寄り添う”べきか
夫のスマートフォンを取り上げ確認すると、やりとりをした女性の数はなんと520人。あまりの数字に目を疑いつつ、残業と嘘をつき、生活費や児童手当にまで手を付けて風俗に通っていた夫の異常性に驚愕する。出産時や息子の誕生日にも嘘をついて不倫していたことが判明し、やがて「夫は性依存症なのでは?」という考えにいきつくが……。
児童手当の振込先を夫が引き出せない口座に変えたいとねむが役所に相談すると、変更届とあわせて夫の診断書を提出するようにとの指示をもらう。一度は家から追い出した夫にやむなく連絡をとり、病院で診断書をもらうようにとお願いするも、夫は「自分は性依存症ではない」と自信たっぷりに言うのだった。
家族を欺いてきた夫とすぐに離婚したいと考えるねむだったが、一方で医療ケア児の介護を頼れるのは夫しかいない現実があった。怒りと悲しみに苦しむ中、ねむは夫とかかった性依存症専門医からは「依存症に完治はない」「家族の寄り添いが必要」と追い討ちをかけるような言葉をかけられる。すべてが明らかになったあとも家族を裏切り続ける夫を支え、協力するのは妻の役目なのか。ねむが悩み抜いた末に選んだ「家族」の道とは?


