映画監督
山崎 貴さん

1964年、長野県松本市生まれ。『スター・ウォーズ』に衝撃を受け、特撮の道を志す。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業後、アニメーションやVFXを得意とする映像制作プロダクション「白組」に入社。『大病人』など、伊丹十三監督作品でSFXやデジタル合成を担当。2000年、『ジュブナイル』で監督デビュー。05年『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞の作品賞、監督賞など12冠を達成。13年『永遠の0』、14年『寄生獣』などを手がけ、16年12月には、百田尚樹著のベストセラー小説を映画化した『海賊とよばれた男』を公開予定。
 

食べるのは好きですね。中でもお寿司が一番好きで、ロケ先でも、早めに撮影が終わると、評判がいい店をネットで検索して行きます。

10年くらい前、家の近所でおいしいお寿司屋さんを探していたときに出合ったのが「福元」です。ここの魅力はシャリ。硬くてパスタに近い、アルデンテの米なんです。握った瞬間が一番おいしいから、付け台に置かれたら一秒で食べますね。できれば手渡しで食べたいくらい。持論なんですが、炭水化物のおいしいものって、食べれば食べるほどお腹が空く。「福元」はまさにそれ。以前は週二回は通ってましたが、引っ越したので、今は月二回ほどですね。

「竹乃家」は、会社の向かいにある鰻屋さん。忙しいときは、電話して鰻重を用意してもらって、できた頃に行ってパーッと食べる。弾丸です。畳敷きの全個室なので、温泉地の旅館のような風情。鰻を食べて、ひとっ風呂浴びた気持ちになれるんですよ。撮影で追いつめられているときには、かなりの癒やし効果があります。

今年の12月10日に、映画『海賊とよばれた男』が公開される予定です。この映画は、明治・大正・昭和の時代を舞台に、名もなき青年・国岡鐡造が大事業を成し遂げていくというストーリー。『永遠の0』に続いて百田尚樹さんの原作なので、姉妹作品のような関係ですね。主人公も同じく岡田准一君。全時代を通して岡田君が一人で演じているのですが、それはもう、素晴らしいですよ。

今はこの映画のCGを手がけているところで、スタッフが仕上げたのをチェックして、「ここをこんなふうにしてくれ」と指示を出します。僕の場合はCGスタッフとの距離が近いので、チェックできる回数が多い。週に一回程度チェックするのが一般的ですが、僕は日に五~六回ほどする。電話でスタッフに呼ばれるたびに、同じビルの階段を上り下りしています。糖質もできるだけ控えて、おいしくお寿司や鰻を食べるために、普段がんばっているんです。

次回作のシナリオも、三本、同時進行で書いています。手塚治虫方式ですよ。こっちが疲れたらこっちみたいな。趣味の話が少なくて申し訳ないですが、仕事が好きなんです。シナリオ書きだけだと煮詰まっちゃうかもしれないけど、デザインを打ち合わせたり、CGをやったり、仕事のバリエーションがあるので気分転換の必要がない。向いているんでしょうね。