「ようやく横一線」に増田候補の明るい表情

7月31日に投開票が行われる東京都知事選も、最終段階の追い込みに入った。7月21日発売の週刊文春に続き、28日発売の週刊新潮でも女性スキャンダルが報じられた民進党・共産党・社民党・生活の党推薦候補である鳥越俊太郎氏は、すでに首位争いから転落してしまった。街宣や演説会で見せるその顔には生気がなく、どこにもぶつけられない怒りだけが満ちていた。

その一方で小池百合子元環境相は組織力を持たないものの、行く先々の街宣で人を集め、圧倒的な人気を誇っている。

それを猛追しているのが、自民党と公明党が推薦する増田寛也元総務相だ。

「ようやく横一線になった」

7月28日午前11時から新宿区内のホテルで開かれた「増田ひろや 杉並大演説会」で、登壇者は明るい表情で口ぐちにそう述べた。

会場には自民党支持者が1000人以上も駆け付けた。そもそも新宿区にあるホテルでなぜ「杉並大演説会」を開くことになったのか。

「本来なら公会堂で開くべきだが、演説会の開催が急きょ決まったために間に合わなかった。ここのホテルももっと大きなホールがあるが、すでにふさがっていた。この時間帯のこの部屋だけが、たまたま空いていた」

このように言い訳をするのは、杉並区の東京10区を選挙区とする東京都連会長の石原伸晃経済再生担当相。つい2日前に開かれた「各種団体総決起大会」では、伸晃氏の父で13年半にわたって都知事を務めた慎太郎氏が、鳥越氏を「売国奴」と呼び、小池氏を「大年増の厚化粧」「ウソツキ」と罵ったことで世間の批判を浴びていた。

しかしこれで不利になるどころか、増田陣営はますます活気づいている。

「参院選で負けて悔しいからリベンジを図る人や、都議会との対立を煽る人は知事に相応しくない」

応援演説のために壇上に立った茂木敏充自民党選対委員長は、自信たっぷりにこう切り出した。

茂木氏は「3日で政策を作れると言った人」と鳥越氏を揶揄しつつも、批判の矛先をもっぱら小池氏に向けている。

「今日も“女劇団ひとり”が出ている。『組織に頼らない』なんて言っているが、それは違う。実際には組織に頼れないから出ていった。回りから信用されていないからだ」

その茂木氏に父の慎太郎氏を「一番素晴らしい東京都知事」ともてはやされ、満面の笑みで返した伸晃氏は、一部の軍部の暴走によって満州異変が起こされ、日本が第二次世界大戦に突き進まざるをえなかった事実を引用し、「我々は歴史に学ばなければならない」と述べて小池氏をあてこすった。