東京都知事選、有力候補の基礎票の読み方
7月14日に告示された東京都知事選。14兆円近くの予算(一般会計、特別会計、公営企業会計を含む)を握り、約16万人の公務員を従える東京都知事に誰が選ばれるのかは、もはや全国の関心の的になっている。そこで誰が何票取るのか、どういう支持層がどんな候補を支援しているのかについて読み説いてみよう。
まずは自公の推薦候補の増田寛也氏。岩手県知事や総務相を歴任したが、知名度では小池百合子元環境相やジャ―ナリストの鳥越俊太郎氏に及ばない。よって必然的に基礎票頼みになる。
この中で重要なのは公明票だ。直近の参院選によれば、公明党公認候補の竹谷とし子氏は77万535票を獲得。3年前の参院選では山口那津男同党代表が79万7811票を獲得している。よって東京都における公明票は、約80万と見ることができる。
だがこれは公明党が公認候補を全力で応援した結果であって、推薦候補の場合はいささか異なる。一般的に公明党の推薦候補に対する票は「50万票」と見込まれる。
ではこの度の東京都知事選で、公明党から50万票入るのかというと、そういうわけではない。個別の選挙事情を加味しなくてはいけない。
とりわけ今回の知事選が参院選の直後に行われることに意味がある。参院選では公明党は選挙区7議席、比例区で7議席を獲得。目標の13議席を上回り、まさに「大勝利」を収めたわけだが、その背景に実は危機があった。
参院選の投票日である7月10日、公明党関係者は戦慄した。兵庫と神奈川と埼玉の3選挙区で擁立した候補が伸びていなかったのだ。
24年ぶりの独自候補擁立となる兵庫、かねてから激戦が伝えられてきた埼玉はともかく、定数4の神奈川での劣勢は予想もしなかった。事前の情勢調査では、三浦信祐候補は常に上位を維持していたからだ。もっとも公明票は期日前投票が多いので、ここから上積みされるのだが、だからといって油断はできない。
ただちに公明党は「秘策」を講じた。落選の危機が伝えられていた埼玉選挙区だったが、そのおかげで公明党の西田実仁氏が64万2597票を獲得して当選。公明党が同選挙区で獲得した票としては最多を記録した。西田氏と3議席目を争っていたのは宿敵・共産党の伊藤岳氏だったため、その勝利はとりわけ嬉しいものだったに違いない。こうして公明党は兵庫、神奈川も含めた3選挙区で勝利することができたのである。