参院選で公明党が菅官房長官に感謝した理由

その4日後の7月14日の知事選告示日。千代田区隼町にある増田氏の選対事務所には、党本部や東京都連、そして公明党の議員や関係者が集まった。

「埼玉、神奈川、兵庫で菅義偉官房長官にご協力いただき、有難うございました」

この時、公明党から自民党へ感謝の意が伝えられている。増田氏が獲得する公明票は、推薦候補への50万票からさらに上積みされると見込まれる。要は、貸し借りである。

一方で自民票はどのくらいあるのか。

「100万票以上を求められた丸川珠代氏が、組織頼みの武見敬三氏の票を喰った」と言われる2013年の参院選では、最下位当選を果たした武見氏の獲得票数は61万2388票だった。また「自民党の票を総動員した」と言われた中川雅治氏が今回の参院選で得たのは88万4823票。一般的にその間と考えられる。

よって公明党の推薦があれば、自民党候補は130万を得ることができると思われる。

その一方で野党共闘の票は、共産党が60万票、民進党が50万票、生活の党系などその他の票が40万票と見ることができる。これに宇都宮健児氏の出馬断念がどのように影響を与えるのか。

宇都宮氏は2012年と2014年の都知事選に出馬し、それぞれ96万8960票、98万2594票を獲得したが、これには共産党や社民党、緑の党などの票が含まれていた。よって、こうした政党票を除くと、宇都宮氏の個人票は10万前後と見られるが、これが鳥越氏に上積みされるかが課題になる。鳥越陣営は宇都宮氏に「政策ブレーン」の就任を要請しているが、宇都宮氏は今のところ応じていない。