次期都知事選の候補者選定開幕

東京都の舛添要一都知事の政治資金などをめぐる問題は、いまだ収まる気配を見せていない。政治資金での美術品の購入やリゾートホテル利用、高額な海外出張費などに批判が殺到し、舛添氏が選任した弁護士による調査は一部が「不適切」と認定された。各種世論調査では辞任を求める声が圧倒的多数を占めるが、違法性がないと判断した舛添氏は辞任を否定した。ただ、7月10日に参院選が迫る中、都知事を支えてきた自民、公明両党には危機感が募る。水面下では次期都知事選の候補者選定作業を始めており、辞任に追い込むタイミングをみているのが実情だ。はたして、2020年東京五輪・パラリンピックを首都で迎える「顔」となるのは誰か。

政治資金問題に関する記者会見に険しい表情でのぞむ都知事。(時事通信フォト=写真)

「批判に値するような極めて恥ずかしい行動をしてきた」。6月6日、弁護士による調査結果を発表した記者会見で、不適切な支出が「認定」された舛添氏はいつになく険しい表情をみせた。かつては「トップが二流のビジネスホテルに泊まるか」などとスイートルームやファーストクラス利用の理由を堂々と語っていた自信家の姿はもはや見当たらない。問題発覚後、世論の批判が高まると一転して今後は利用しないと表明し、高額な海外出張費は「事務方に任せていた」などと責任を回避する姿勢も火に油を注いだ。

舛添氏を都知事選に擁立し、当選させた都議会の自民、公明両党は当初、問題を静観する姿勢をみせていた。だが、世論の逆風を受けて厳しく追及する姿勢に転じ、次期都知事選の候補者選定作業に入っている。名前があがるのは橋下徹前大阪市長、東国原英夫元宮崎県知事、民進党の蓮舫代表代行、キャスターの安藤優子氏らだ。知名度は高く、当選圏に入りそうな面々だが、舞台裏はどうなっているのか。