料理愛好家
平野レミさん

東京生まれ。フランス文学者・平野威馬雄氏の長女。夫はイラストレーターの和田誠氏。“シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、テレビ、雑誌で数々のアイデア料理を発信。人間ドックで「5年間来なくていいです」と言われた健康体を武器に、講演会やエッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案。また、特産物を使った料理で全国の村おこしにも参加している。『平野レミと明日香の嫁姑ごはん物語』(セブン&アイ出版)、『平野レミのつぶやきごはん~140字レシピ』(宝島社)など、著書多数。
 

私は無精で気短だから、料理がパッとできないとイヤなの。面倒くさい料理は食べに行っちゃえばいいと思ってて。だから簡単に何かできないかなといつも考えてるの。買い物に行くの面倒くさいなと思うと、冷蔵庫の中にある食材で作ってみようと試したりしてね。

料理は小さな頃から大好き。ござを敷いてままごとしてさ、葉っぱがお皿になってて、それにのっけて「どうぞ」ってやりあって。それで食べられるものができあがるんだから、「料理って大人のままごとじゃん!」って。こんな幸せなことがあったのかという感じ。最高よね。

料理は誰からも教わってなくて、お母さんの見様見真似。自分で庭からトマトをもいできて、うどんと合体させて、真っ白いうどんが真っ赤なうどんになるくらい煮込んでキッチンを汚しても、お母さんは「レミちゃん、今日も派手に散らかしちゃったわね」ってぜんぜん怒らなかったの。「包丁を持っちゃダメ」なんて言われていたら、今のようにはなってなかった。だから子供たちには、好きなことをやらせたほうがいいと思うね。

お店へは、友達から教えてもらって行くことが多いの。のろいところはキライ。お酒ばっかり飲んじゃうから。行ったらすぐ出てくるように、あらかじめメニューを注文しておくこともあるくらい。

「wasabi」は家の近所にある割烹屋さん。前はお花屋さんがあったところで、工事をしているときから何ができるのか楽しみにしていたの。ここはね、うちのダイニングルームですよ。夫(イラストレーターの和田誠さん)と来たり、息子と来たり。何を食べてもおいしいし、盛り付けも上手なの。店主の窪園さんの感じがよくて、「これってどうやって作るの?」って聞くと、普通なら「勘弁してくださいよ」って言うと思うんだけど、ちゃんと教えてくれるの。自信よ、やっぱり。だから勉強になりますよ。「なるほど、そうやって作るんだ」と思って。

「キッチャーノ」へは、私がA級グルメの審査員をしている島根県邑南町で出合った処女の岩見和牛を食べに行きます。水も空気もいいところで放牧されているからストレスがなくイキイキしてて、みんな元気。希少な牛でお店にないときがあるから、電話して置いてあるか確認してからね。分厚いヒレを炭火でレアに焼いてもらってさ。焼き方も素晴らしいの。熟成室も見えて、いいですよー。