エンタテイナー
グッチ裕三さん

1952年、東京都生まれ。78年「ビジーフォー」を結成、六本木を中心に活躍。85年にCXものまねブームの立役者となる。NTV『THE 夜もヒッパレ』では13年間レギュラー。92年「グッチ裕三とグッチーズ」を結成。95年より出演したNHK教育テレビ『ハッチポッチステーション』は、子供番組として最高視聴率を誇る。世界50カ国で放送され、2003年「第11回スポニチ文化芸術大賞・優秀賞」を受賞。98年からTX『グッチ裕三のこれは旨い!』に出演し、料理ジャンルにも進出。10年には日本テレビ『THE 料理王』で芸能人の初代料理王となる。
 

両親が共働きだったので、子どもの頃から料理を作っていたんです。その頃から、友達に自分の料理を振る舞うのが大好きで「ごちそうさま」って言われるのがうれしくてね。今もしょっちゅう人を呼んで僕の料理で宴会をしているんだけど、僕にとってごちそうさまと言われる喜びは、ステージで拍手をもらう喜びと全く同じなんです。

僕のすべての原点は「ウケたい」。ただただ、それだけなんです。そのためには「どうすればウケるか」を研究するわけだけど、例えば料理の場合は、まずおいしいものを食べる。そして、その味の記憶を再現するの。簡単でしょ? というと、そんなことできないよって言われちゃうんだけど、僕は昔から直感で特徴をつかむのが得意なんだと思います。

例えばものまねは、その人の声、表情、所作、身だしなみを15秒くらいで把握します。そしてその象徴的なイメージをデフォルメして表現する。料理も同じ。舌と頭の中に残っているイメージを再現するんです。だって、答えが先にあるんだから、そのほうが近道でしょ。もちろん、そこに至るまでには調味料を研究したり文献を読んだりしますよ。でも、好きなことだから苦にならない。

音楽を始めた頃は、音楽大学を出た人が脅威で、気後れしちゃってた部分もありました。だって、初見で譜面が読めちゃうじゃない。でも、後になってわかった。ウケたもん勝ちだってことが。料理だって、僕は料理学校を出ているわけじゃないから基本を知らない。テレビで料理の仕事を始めた頃も、中華にコチュジャン入れたり、パスタに柚子胡椒や鶏ガラスープを入れたり、オリーブオイルの代わりにバターを使うと、フードコーディネーターがいちいちビックリするんですよ。「普通はそんなことしません!」って。でも、おいしいってウケたらありなんです。だって僕はエンタテイナー、つまり娯楽請負人だから。

自慢になっちゃうからここだけの話、僕、瞬間視聴率の最高記録を持ってるんです。そりゃそうだよね、テレビに僕みたいな踊ったり、急に歌ったり、変な格好をしてるヤツがいたら、思わず見ちゃうでしょ。

でも、たまに真面目なことを言ってしまうんです。そういうときはね、カットしてもらう。僕は手に負えない変な人であり続けたい。これからも料理や音楽で皆さんを楽しませますよ~!