音無美紀子さん
1949年、東京都生まれ。高校在学中の66年、劇団若草に入団し、翌年『でっかい青春』でドラマデビュー。71年TBS連続テレビ小説『お登勢』のヒロイン役で一躍脚光を浴びる。以後、数々の映画、TVドラマ、舞台で活躍。主な出演作品は、映画『男はつらいよ 寅次郎 紙風船』『沈まぬ太陽』、NHK『おんな太閤記』、日本テレビ『たんぽぽ』、フジテレビ『3億円事件』、舞台『菊次郎とさき』など。76年に俳優の村井国夫氏と結婚。一女一男をもうける。娘の村井麻友美も女優として活躍中。
東日本大震災の復興支援として「音無美紀子の歌声喫茶」を始めて4年近くになります。私に何かできることはないかと、お菓子や化粧品などを持って被災地の仮設住宅をまわりました。そのとき、10畳ほどのぎゅうぎゅう詰めの狭い部屋で、地元の方が『釜石音頭』を歌ってくださった。歌い終えると、「次は何を歌おうか」と盛り上がったんです。歌でみんなが元気になる姿を見て「これだ!」と思ったのがきっかけです。
仲間のタレントさんたちと震災の年の12月からやり始めて、これまで80回以上開催してきました。東京を中心に、横浜、名古屋、広島、熊本など、全国で歌声喫茶をし、そこで集めたお金で被災地に行っています。「青い山脈」や「夏の思い出」といった曲リストの中から歌いたい曲をリクエストしてもらい、その歌をみんなで歌うという形です。行くとみなさん喜んでくださる。なかには思い出が蘇って「懐かしいわ」と涙ぐまれる方もいらっしゃいます。
4年が経ち、仮設住宅から災害復興住宅などへの移住が進んでいますが、6割が独り暮らしの方。コミュニティーがバラバラになり、隣は何をする人なのかわからない。誰とも口をきかない日もあって前より寂しくなった、という方々が増えていると伺いました。新たに問題が出てくるものなんだなって。歌声喫茶の活動はもういいかなと思っていましたが、まだやめられないですね。
今回ご紹介する「きてら」の店主・佐々木生剛さんとは、フェイスブックで知り合いました。おすすめメニューが写真で毎日アップされていて、おいしそうだなと家族で伺ったのが最初です。誕生日など、家族の記念日で利用することが多いですね。「きてら」とは和歌山弁で「おいでください」の意味。音無家は熊野の神官でしたから、和歌山とご縁があるんです。和歌山が食材の宝庫だということが、ここへ来てよくわかりました。新キャベツや新ジャガなど、来るたびに違う炊き込み御飯は、家で真似して作っています。
「ラ・ファヴォリータ」は、家の近所にあるイタリアン。夫婦で行ったり、子どもと行ったり。主人(俳優の村井国夫さん)がジャージで行くような、そんな気軽なお店です。シェフが仕事熱心で、何を食べてもおいしい。体にいい食材を使っているのも魅力です。料理教室もやっているので、いつか参加したいですね。