あいおいニッセイ同和損害保険 社長
鈴木久仁さん

1950年、神奈川県生まれ。73年早稲田大学商学部卒業後、大東京火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)入社。2000年執行役員、04年専務、10年より社長。14年からMS&ADホールディングス会長を兼務。15年6月より日本損害保険協会会長。栄光学園中学時代はサッカー部でセンターバック、高校時代はボランチで活躍。中学時代には、後に日本初のプロサッカー選手となる奥寺康彦氏を擁する舞岡中に勝利し、県大会で優勝。現在もサッカー観戦が趣味。障がい者スポーツの支援にも力を入れる。
 

実は演歌歌手の石川さゆりさんの大ファンなんです。社内でも公言しています。あるとき、それを聞きつけた名古屋勤務の社員が、「社長におススメの店がある!」と鼻息荒く、連れてきてくれたのが「和可菜」。女将さんが美人なんですが、よく見ると石川さゆり似(笑)。料理も季節のものを少量ずつ出してくれるので、いろいろな味を楽しめる。特に、「乾きもの盛り合わせ」は絶品。これを食べに来ているといってもいいくらい。フランクに石川さゆりと話せる店。最高ですね。

最近は、肩ひじ張らずに過ごせるお店を選ぶようにしています。懇意の証券会社の方から食事に誘われたときに、「フランクなお店」とリクエストをして紹介してもらったのが「とりまる」。気に入って、会社の連中をよく連れて行くようになりました。大将が毎回「しゃっちょーさん」と元気に挨拶してくれます。長野で味噌屋さんも経営されていて、その信州みそで食べる「肉みそレタス」は一押しです。焼き鳥は特にカワが好きで、お店を予約するときに一緒に予約しておくほどです。

明るくフランクに接してくれるとまた会いたくなって、通ってしまう。人と付き合ううえで大切な姿勢だと思っています。一昨年、イギリスでもそれを体感しました。

サッカープレミアリーグの強豪、マンチェスター・ユナイテッドの試合を観戦したときのことです。食事をとろうとレストランへ行くと、ユナイテッドの監督だったアレックス・ファーガソンが目の前に。おそるおそる話しかけてみると、意外にも笑顔で握手をしてくれ、しばらく会話を楽しみました。おまけに、往年の名選手であるボビー・チャールトンがスタジアムに来ていることまで教えてくれました。サッカーをしていた私にとって、彼は憧れの存在。思わず、スタッフに昔からのファンだと伝えてくれとお願いしてしまいました。すると、わざわざVIPルームから出てきて、挨拶をしてくれたんです。感激でした。初対面の相手にも壁をつくることなく、接してくれる。一流の人は懐が深いとしみじみと感じました。

社長室には、ファーガソンが率いたユナイテッドの選手全員のサイン入りユニフォームを飾ってあり、私が不在のときは社長室を開放し、自由に見られるようにしています。誰とも壁をつくらず接したい。これからも社内外の人とフランクに接することで、いい関係を築きたいと思っています。