プロジェクト成功率の高い職場の特徴

コミュニケーションがよく、自由に意見を言い合える職場では、曖昧な目標や全体観の欠如はなくなり、プロジェクトの成功率が高まる。しかし、そのような未来志向の議論を仕かけられるリーダーは少ない。倉益氏はその理由として「コミュニケーションの質が変わった」と話す。

職場にまだパソコンがなかった時代は、上司と部下は対話を中心に、アナログのコミュニケーションで意思疎通を図っていた。しかし、1990年代半ばから業務で電子メールが使われるようになると、一方通行の指示や報告が増え、対面型のコミュニケーションは明らかに減ってきた。

そのような状況では、部下は指示された業務の中身を理解することなく着手し、途中で迷いが生じたり、ゴールを見失ったりすることが多い。接する機会も少ないのでマネジャーはそのことに気づかないまま、実績だけを管理して指示を出しつづける。職場でメンタルの不調を訴えるメンバーが増えたのも、職場のIT化が進み、コミュニケーション不全が広まってきたのと無関係ではないだろう。

これは人材育成にもかかわる問題だ。「若手社員が育たない」「成長が遅い」といった上司の嘆きもよく聞かれるが、コミュニケーション不全に陥れば、業務に必要な知識とノウハウの伝達は当然減っていく。社員の継続的な成長は高いレベルのコミュニケーションによって支えられている。いまや「俺の背中を見て育て」では、スピードが追いつかない時代だ。実際の業務を進めながら上司、先輩、同僚と対話や議論を繰り返すことの育成効果は大きい。

「段取りコミュニケーションは、プロジェクトを成功させるだけでなく、社員の成長を促す場でもある。チームワークを体感すれば、仲間と未知の業務に挑戦する意欲も湧き、新しいスキル獲得への意欲が生まれます。個人も成長し、組織も成長します」

安倍総理の白紙撤回宣言から4日後、遠藤利明五輪担当大臣をトップとする関係閣僚会議が発足した。遠藤大臣は就任後、「新国立競技場は世界最高水準の施設として、日本の先端技術のショーケースとして発信したい」と語った。大臣が組織間のコミュニケーション不全を解消し、プロジェクトを成功させれば、日本の高い技術を世界に示す機会になる。日本人にとって、経済の停滞によって失われた自信を取り戻すきっかけになるだろう。

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