初めから細部まで検討しているか
「企業の開発プロジェクトでも、似たことは起こります。初めにプロジェクトの細部まで検討していないと、進行が場あたり的になり、トラブルが多発する。スケジューリングも大雑把なうえにトラブル対応に追われたら、時間はどんどん足りなくなる。そうなれば、人手を増やすなど新たなリソースを投入するしかなくなり、コスト増大に陥ります」
トラブルは、特にプロジェクトの後半になって増えてくる。そのようなプロジェクトの工数は、図の青色で示すように、納期が近づくにつれて急カーブを描くように増えていく。
例えば、徹夜の連続で乗り切ろうとする状況を想像するとわかりやすいだろう。納期直前になってバタバタすれば、工数は切り立った崖のように急増していく。全体のコストは膨れ、倉益氏が「工数絶壁型」と呼ぶ状況に招いてしまうのである。
成功するプロジェクトは対照的に、むしろ開発期間の前半にリソースを投入していく。前述の図に緑色で示すように、初めのほうにピークを持ってくることで、全体の工数を示す面積は青色に比べて少なくなる。
このような仕事の進め方は「フロントローディング」と呼ばれ、特に“段取り”が重視される。
「早い段階で、プロジェクトが突き当たるであろう課題を割り出し、先まわりして対策を打つ。それによってトラブルを回避し、ロスを減らします」