矢野経済研究所の調査によると、2013年度の「スマート農業」の国内市場規模は66億1400万円。
スマート農業とは、ICTやロボット技術などを活用して農業の生産性を高める取り組みだ。同調査では、20年度の市場規模は、308億4900万円にまで成長すると予想している。インターネット経由で生産管理システムや販売管理システムを提供する「農業クラウド」などの売り上げが市場の伸びを牽引するという。
農業分野のIT化に詳しい日本農業サポート研究所の福田浩一氏は「一部の大規模な農業事業者は、すでにITでビニールハウス内の環境を制御する仕組みなどを導入しています」と話す。「その一方で、農家は65歳以上が6割を超えており、そうした農家ではスマートフォンさえ普及していません。ここ5年で、作物の栽培に関する情報共有を目的に、自治体や農協、直売所のシステムから農家の携帯電話にメールを送る仕組みが整えられたのが現状」(福田氏)
今後は、農協なども協力し、多くの農家にタブレットやスマホが普及する見込みだ。福田氏は「専用のアプリケーションを使って、作物の写真を撮影して共有し、専門家からの農業指導や、農家同士の学習会などITの活用が飛躍的に進んでいくでしょう」と予測している。
(大橋昭一=図版作成)