農林水産省の調査によると、2014年の日本茶の輸出額は78億円。同省は、16年には100億円、20年には現在のほぼ倍の150億円にまで市場が拡大すると見込んでいる。
特に輸出量が多いのはアメリカだ。12年時点で輸出額の46%を占めているが、その後も伸び続けている。その理由について、日本茶輸出組合の谷本宏太郎副理事長は「アメリカは健康ブームで、緑茶や紅茶、抹茶の人気が高まっている」と説明する。加えて「コーヒー市場が飽和なため、新たな商品としてお茶に注目が集まっている。茶葉の専門店や、緑茶を出すカフェが増えている」と話す。
アメリカ以外の国への輸出は横ばいの状況だ。「残留農薬規制が厳しいヨーロッパや台湾、放射能規制が厳しい中国への輸出を増やすことは望みが薄い」(谷本氏)。一方で、「中東やロシアなど、富裕層が多い地域への輸出を大きくしようという試みが増えている。まだ量は少ないが、徐々に入り始めた段階だ」と今後の展開を示唆。地理的に近い東南アジアの市場を開拓しようという試みも始まっている。
日本茶輸出へのTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の影響は限定的。アメリカをはじめ、日本茶を輸入している国の関税は無税、もしくは低い値に設定されているためだ。
(大橋昭一=図版作成)