孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。

Q. ITバブル崩壊で株価が100分の1に

ソフトバンクは2000年2月、一株約20万円の高値を付ける。当時、株式時価総額はトヨタ自動車に次ぐ第2位に躍進していた。しかしその後、ITバブルが崩壊し、株価は急降下してしまう。A案は、株価暴落で投資家がいっせいにお金を引き揚げてしまったため、やむなくネット事業を縮小。B案は、株価下落にもかかわらずビジョンや志に共鳴して背中を押してくれる株主に報いるためにも、一段とネット事業に力を入れる。
【A】ネット事業は縮小・撤退【B】さらにネット事業を強化(正答率90%)

ついにくるものがきてしまいました。00~01年にかけて、ITバブルが崩壊したのです。

あれほど声を大にして「これからはインターネットだ、僕の頭の中は99%インターネットだ」と言って、猛然と億単位の投資をしていたのに、逆風が突然吹き荒れたのです。不可抗力とはいえ、現実とはかくも非情なものです。

アメリカでは、株価の崩壊の中で、多くのIT関連ベンチャーが倒産に追い込まれました。統計では02年の米国IT関連失業者数は56万人にも達したそうです。グーグル、アマゾン・ドットコムやイーベイなど有力な一部のベンチャーだけが生き残ったのです。

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ソフトバンクは売買代金ランキングで1位に。情報通信関係は軒並み下落!

日本でも、アメリカのネット業界の好況に後押しされるように、ジワジワと上昇していたIT企業の株価が、崩壊とともに一瞬で消え去りました。

さて、バブルのようなイケイケ状態のお祭り景気が一転、どん底になったとき、どうするのが賢明か。ネット事業を縮小・撤退するのか。さらにネット事業にもう一段お金をつっこむのか。世間一般の判断は、手を引くというものでした。

当時、インターネット関連株を所有していた人の99%は、それを売り払いました。文字通り、片っ端から。彼らはこう言いました。「底は先だ。まだまだネット関連株は下がる。このまま持ちこたえられるはずがないぞ」。

ソフトバンクの株価は、約100分の1に下がりました。想像できますか。バブル崩壊で、ソフトバンクの時価総額は20兆円から2800億円へ真っ逆さまに降下したのです。