小宮コンサルタンツ代表取締役 小宮一慶氏が解説

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数字を「目標」にすることと「目的」にすることは違う!

ITバブルが崩壊したことと、その後自社のネット事業がうまくいくかどうかは別問題だ。孫さんはこの時点でもネット事業は将来へ向けますますよくなり、世の中に必要とされると信じていただろう。また、それを成功させることが株主に対する恩返しにもなると考えた。そうした「覚悟を決められる人」だ。

勇気やエネルギーの根幹にあるのは、信念。孫さんの場合、「世の中に貢献したい」という想いと、インターネット事業は必ずや成功すると信じる気持ちだ。加えて、それをきちんと説得できた。夢の描き方がうまい。

小宮一慶氏

「新30年ビジョン」では時価総額を30年以内に200兆円にするとしている。数字を「目標」として置くのはいいが、数字を「目的」にして追いかけると会社の本質が変わる。「情報革命で人々を幸せにする」という自社の存在目的を忘れず、いい

仕事をできるかどうかが大事だ。孫さんは、『ビジョナリーカンパニー2』で言うところの「一緒にバスに乗れる人(ビジョンや考え方に共感して一緒に働ける人)」の大切さを知っている人だろう。

●正解【B】――創業時の考え「情報革命で人々を幸せに」を貫くことが大切

※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。

(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成 小倉和徳=撮影)
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