孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。
Q. 成功する確率が6割の事業
ソフト卸業・出版業で成長したソフトバンクがついに通信業へ参入。接続料が高いことや、接続スピードが遅いことを正当化してきた大手通信会社の論理は通用しないと考えてきた孫の、念願の事業だった。ところが、未知の分野のため経験もノウハウも足りず、成功する確率は7割以下。そんなときはどうするべきか。A案は、失敗も覚悟で実行する。B案は、先行き不透明だからと考え、あきらめる。【A】実行する【B】撤退する(正答率30%)
未知だけれど魅力的。そんな新規分野へ投資をしたい場合の選択肢は何でしょうか。先行きが読めないから、堅実に小さくスタートする人もいるだろうし、大きく投資して市場をつくろうという気概で挑んでいく人もいるでしょう。
僕がこの質問に答えるとしたら、10回のうちの9回はBの「撤退する」を選び、10回に1回はAを選ぶと思います。
21世紀に入ってからのわれわれのブロードバンドへの挑戦は、まさしく確率7割未満の事業に大きく投資したケースでしょう。ナローバンドから、ブロードバンドへ。ネット上でより大容量の情報を高速スピードで流通させるADSL回線を、各家庭へ浸透させようという事業。
それはデジタル情報革命で人々を幸せにする、というソフトバンクのビジョンにぴたりとはまるプロジェクトでした。日本をブロードバンド先進国にしたい。僕はこの一点にかけたからこそ大きく投資する決断ができたのです。