逆境にあるときは何を意識するといいか。立命館アジア太平洋大学前学長・名誉教授の出口治明さんは「順境も逆境も偶然の産物だから、いちいち一喜一憂することはない。順境はいずれ逆境に転じ、逆境はいつか順境に転じる。その変化に適応することで、僕たち人間はより幸福な人生を送ることができる」という――。

※本稿は、出口治明『誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

ビジネス街で遠くを見つめるスーツ姿の若いビジネスマン
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変化する環境に「適応」することで生き残る

「運がいい」とはどういうことなのでしょうか?

人生が「運」と「偶然」に左右されてしまうのなら、何をやっても無駄でしょうか?

運や偶然で変化する環境で生き残るために大切なのは、逆境を順境に転じるために自力でがんばることではありません。チャールズ・ダーウィンが『種の起源』で明らかにしたとおり、いま地球上に存在する生物はすべて、変化する環境に「適応」することで生き残ってきました。

ダーウィンの進化論を勘違いしている人もいますが、決してほかの生物より「強い者」や「賢い者」が生き残るわけではありません。進化は、「突然変異」と「自然淘汰」というシンプルなメカニズムで起こります。

突然変異は、たまたま親と異なる体や性質を持つ子が生まれること。その突然変異体の中で、たまたま環境に適応した個体が生き残って子孫を残すことで、親の代とは異なる新しい「種」になっていきます。

どんな変異体として、どんな環境に生まれるかは、まったく運次第。自分で選ぶことも、努力して変えることもできません。たまたま運良く環境に適応した体や性質を持って生まれた者が生き残り、子孫を残すのです。