適切なときに適切な場所にいること

ネアンデルタール人の研究で知られるクライブ・フィンレイソンは、生き残るために必要なのは「適切なときに適切な場所にいる」ことだといいました。その「適切さ」も、自分では選ぶことができません。

その適切さに恵まれることを「運がいい」というのです。彼が研究しているネアンデルタール人が絶滅し、僕たちホモ・サピエンスが生き残ったのも、運不運の結果でしかありません。

ほかの動物と違って、人間には強い自我や自意識があるので、どんな環境になっても「自分ががんばれば何とかなるはずだ」と思いたがります。たしかに、そういう局面も少なからずあるでしょう。

あなたもこれまで、入試や学校のテスト、あるいは就職活動など、自分の努力で良い結果を得てきたという自負心があるはずです。そのこと自体には、自信を持っていいと思います。

しかし、そこにも運や偶然に左右された面があることを見逃してはいけません。試験のためにがんばって勉強する能力は、あなたが自力で得たものではないでしょう。これは、持って生まれた資質にもよります。

大事なのは、次の環境変化に備えておくこと

また、入試で合格できたのは、たまたま自分よりも点数の低い人が多かったから。自分より成績の良い受験生がひとりでもいたら、あなたは不合格だったかもしれません。

もちろん、あなたは合格者にふさわしい努力をしましたが、その努力をした上で「適切なときに適切な場所」にいたからこそ合格できたのです。

合格証明書
写真=iStock.com/Sayuri Inoue
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逆に、どんなにがんばって努力しても、たまたま「適切なときに適切な場所」にいなかったせいで、悪い結果になることもあるでしょう。

そんなときに「努力が足りなかった」と自分を責めても仕方ありません。順境も逆境も偶然の産物ですから、いちいち一喜一憂することはないのです。

むしろ大事なのは、次の環境変化に備えておくこと。順境はいずれ逆境に転じ、逆境はいつか順境に転じます。その変化に適応することで、僕たち人間はより幸福な人生を送ることができるのです。