高齢者が脳の健康を守るには何をするといいか。精神科医の和田秀樹さんは「ムリのない形で仕事を続けることが、脳を守り、心を守り、若さを保つことにつながる。定年は、これまでとは異なり、仕事を完全に辞める時期ではなく、『働き方を変える時期』と考えるべきだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『これだけでいい!老けない!ボケない!和田式「アウトプット健康法」』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

コーヒーを注ぐ高齢男性
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脳の機能を十分に保つ定年後の仕事の効用

望むと望まざるとにかかわらず、定年後も仕事をするのが当たり前の時代になってきました。

ただし、定年退職してからも仕事を続けるのは、単に収入を得るためだけではありません。脳の健康を守り、老けない・ボケないためにも、非常に大きな意味を持っているのです。

皆さんも経験済みでしょうが、仕事の現場では、状況を判断し、人と話し、問題を解決し、責任を持って行動します。こうした一つひとつの行為が、脳への強い刺激となる。

定年後も仕事を続けている人の多くが、頭がはっきりしていて、意欲的で若々しいのは、仕事はまさに前頭葉を総動員する作業だからなのです。

私がこれまで診てきた高齢者のなかでも、仕事を続けている人は、認知機能の低下が軽くて済む傾向がありました。

反対に、定年を機に完全に仕事を辞め、「何もすることがない」状態になった結果、急に物忘れが増えたり、意欲が低下したりする人は少なくありません。

認知症の原因のひとつに、アミロイドという物質の蓄積がありますが、仮に脳の一部に病変が起きたとしても、残された健康な神経細胞を活用することで、実は脳の機能は十分に保たれるのです。

そのためには、頭を積極的に使い続けることが不可欠。仕事は、そのための最も効果的な手段のひとつなのです。