歩道を走ると取り締まられるのか
マスメディアもネットメディアも混乱しまくっていた。「これからは自転車に乗れない」「歩道走行で即、罰金(本当は反則金)だ!」など、もう煽りに煽っていた。私はその無知ぶりに少々面食らってきたのだが、マスメディアもネットも法律の文言と、その運用の差を知らなすぎたと思う。たしかに「歩道通行・反則金6000円」「夜間無灯火・反則金5000円」などと定められてはいる。しかし、今回の青切符導入で、即、切符が切られるかというと、それとこれとは別問題なのだ。
これに関して、私は自治体主催あるいは警視庁交通安全センター主催などの講演会で「本当はこうです」と言いつのってきた。
同席する警察官僚は口々に「ヒキタさんのおっしゃるとおりです。しかし、警察の口からは言えないのですよ」と言った。だから民間から私が出ていって「法の解釈、警察庁の方針からすると、現実として今後こうなります」と言ってきたのだ。それを警察官僚たちが頷いて聞いている。どういうことか。実際の現場に立てばわかる。歩道通行を取り締まる? 併走を取り締まる? そんなこと不可能だし、やらねばならないことは別にあるのだ。
ともあれ、冷静な視点で経緯を振り返り、そのうえで実際問題、青切符は何について切られるのか考えていこう。
自転車の事故が多すぎる、自転車乗りがルールとマナーを知らなすぎる……といった批判を受けて、警察庁が「自転車にも青切符導入」と大きく舵を切った。これに関しては新聞やテレビも大いに取り上げ、「では、何が取り締まられるのか」と話題になった。
信号無視? 2人乗り? 傘さし運転? 逆走? そこに警察庁が出した最初の答えが、2025年春、警察庁の記者クラブで配布されたプレスリリース「113項目の取り締まり項目」だった。後から考えると、これが混乱の元となった。反則金額は原付バイクをベースとしたとのことで、違反内容に応じて3000円から1万2000円。信号無視や車道逆走などの悪質なものもあるが、一方、歩道走行も反則金6000円などとあった。
テレビや新聞は当然のようにセンセーショナルに報道した。26年4月からは「自転車で歩道を走れなくなる」と。スタジオの識者と称する人びとは「ママチャリに乗るのは控えたほうがいいですね」「自転車のマナーが悪いので自業自得です」などと言った。これらの報道にママチャリ市民は大いに反応し、パブリックコメントには「歩道禁止なんて反対」「車道が危なすぎるのに」が殺到したという。
パブコメの結果が出たのが25年6月。その3カ月後の9月4日、警察庁が急遽、発したのが「自転車ルールブック」だった。この冊子は、いわばパブコメに対する警察からのアンサーだったのだ。最初に提示されたのが「歩道を通る自転車を取り締まることはしない」という文言だ。引用しよう。
取締りの基本的な考え方
自転車の運転者による反則行為のうち(中略)悪質・危険な行為が自転車の交通違反の取締り対象となります。
一方で、単に歩道を通行しているといった違反については、これまでと同様に通常「指導・警告」が行われます。青切符の導入後も、基本的に取締りの対象となることはありません。(警察庁「自転車ルールブック」より)
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