宇宙を舞台にしたある作品を見た。

アンディ・ウィアー著『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(早川書房)と同書を原作とする映画である。人類の危機、未知の存在、そして協働――そうした要素が並ぶ、典型的なSFの設定である。原作を読み終えたときに残ったのは、壮大な余韻ではなく、奇妙な違和感だった。「本当にこの物語は宇宙の話なのか?」という問いである。

物語の中盤、主人公は宇宙の深部でまったく予期しない存在と出会う。

(写真=時事通信フォト)