高級ラインを手掛ける子会社の解散を決定

仕事と趣味を兼ねて、移動中に人々の服装を眺めていると、マストレンドがぼんやりとわかってきます。そのマストレンドの一つとして最近ひしひしと感じるのが、ビジネスマンの服装のカジュアル化です。2020年代になり在宅ワークが定着すると、Tシャツにジャケットスタイルも珍しくなくなりました。銀行の営業担当者のような「お堅い仕事」と呼ばれるような人々でもワイシャツ・ノーネクタイが珍しくなくなっています。その流れを汲んでか、足元を革靴で固めている人も随分と少なくなり、スニーカーを履いている人や、革靴っぽいスニーカーを履いている人が大幅に増えたと感じます。

これは相当に革靴需要が減っているだろうなと思わずにはいられません。

アッパー素材が主に本革や合皮で作られている革靴は、繊維素材のスニーカーに比べて硬く、また靴幅が狭いことも相まって、履き心地、歩き心地の観点から劣ります。靴底も革底はもちろんのこと、価格帯によってはゴム底のものもありますが、そのゴム底でさえクッション性ではスニーカーにまったく太刀打ちできません。革靴とスニーカーとでは、一日立ちっぱなし、歩きっぱなしの日の足の疲労度は段違いです。普段使いする「履物」において、楽なほうに流れるのは極めて当たり前の選択です。

このビジネスマンの革靴離れを象徴するような発表がありました。「REGAL」のブランドで知られるリーガルコーポレーション(千葉県浦安市)が、連結対象子会社で靴製造を担当するチヨダシューズの操業を停止し、解散を決定したのです。チヨダシューズは新潟県加茂市に工場があり、グッドイヤーウエルト製法やマッケイ製法を得意として高級ラインを手掛けていました。解散理由は、街行くビジネスマンの服装が象徴しているように、革靴需要が減ったためと説明されています。リーガルはチヨダシューズのほかに持つ製造会社2社の操業は続けるとのことですが、革靴市場全体の苦境は察するに余りあります。

リーガルは、1万円台から3万円台のシューズを展開しています。比較的買いやすい価格帯の割にはしっかりした物作りをしているという評価の高いブランドで、今の40〜70代が若い頃には、就職活動用や就職後の最初の1足として買われたものでした。アウトレットモールなどにも出店しており、今でも愛用している人が多いのではないかと思います。

そんなリーガルも近年の決算内容は当然厳しく、今回のリストラにつながっているわけですが、26年3月期第3四半期連結決算は
売上高 158億2800万円(対前年同期比4.3%減)
営業損失 6億6200万円
経常損失 4億8000万円
当期損失 5400万円
と減収赤字になっています。

通期見通しも
売上高 229億円(同2.8%減)
営業利益 5000万円(同87.4%減)
経常利益 2億1000万円(同57.8%減)
当期利益 3億6000万円(同48.6%減)
と減収大幅減益となっています。

11年前の15年3月期と比べると、リーガルコーポレーションが売上高も営業利益も大きく落としていることがわかります。15年3月期の売上高は360億3000万円で、営業利益は20億7700万円となっています。これと比較すると26年3月期の見通しは売上高が36.4%減、営業利益に至っては97.5%減と大きく落ち込んでいることがわかります。

売上高が300億円台を割り込んだのは20年3月期からですが、20年3月末の時点ではまだコロナ自粛は本格化しなかったので、すでに経営悪化の兆候が表れていたといえます。注目すべきはコロナ自粛が解除された24年3月期、25年3月期も売上高は300億円まで回復せず、微増にとどまっています。これは完全に革靴の需要自体が減少していることを表しています。

靴市場の半分以上を占める履物とは

その最大の原因は先述した「ビジネスマンの革靴離れ」と、スニーカーへの切り替えにあるといえます。

(文=南 充浩)

検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます

【関連記事】
なぜ高市ブログは消されたのか…「1000本読破」でわかったこと
なぜ中国人はブランドに心酔し、日本人は「無印」を選ぶのか
クマに遭遇「死んだふり」はNG…80年分の新聞から学ぶ生還術
タイのハイラックス ドリアンを積むクルマの正体
9割が知らない間違いだらけの投資の常識…「貯金だけ」が最も危ない時代の新NISA「超」スタートガイド