「手続きが面倒」「今からでは遅い」と新NISAを始めるのをためらっていないだろうか。必要なのはスマホやマイナンバーなど5つだけ。窓口開設でも問題ない。口座選びから銘柄、暴落時の心得まで、投資初心者が迷うポイントを完全網羅する。
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まだ何もしていない人がいちばん損をしている

新NISAがスタートして丸2年、国内の口座数は2826万口座(2025年末時点・金融庁調べ)に達しました。この間、株価は順調に推移し、たとえば日経平均は3万3288円(24年10月4日初値)→5万5239円(26年3月18日終値)と約66%上昇しています。

一方で、まだ投資を始めていない人が多くいるのも事実です。資産運用のコンサルティングなどを手がけるベター・プレイスが25年11月、全国20~50代を対象に行った調査によると「NISA制度を知っている」と答えた人は84.7%に達したのに対し、「現在利用している」「過去に利用していた」と答えた人は合わせて34.9%にとどまり、「知っているけど、利用したことがない」人が、49.8%もいました。

小林 亮平(こばやし・りょうへい)
小林 亮平(こばやし・りょうへい)1989年生まれ。横浜国立大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。同行退社後、ブログやSNSでNISAやiDeCoなど資産運用の入門知識を発信。現在はYouTube「BANK ACADEMY」の運営に注力しており、YouTubeのチャンネル登録者数88万人超。著書に『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)など多数。

やっていない理由は、さまざまです。調査では「投資に回すお金がないから」「まとまったお金を用意できないから」「元本割れするかもしれないから」「手続きが面倒だから」といった回答が、いずれも20%を超えました。私はユーチューブで超初心者向けに投資の入門知識を発信していますが、視聴者の方からは「口座開設の途中でつまずいてそのまま放置している」「ここまで株価が上がった今からでは、もう遅いのでは」といった声もよく届きます。

しかし、遅すぎることはありません。むしろ問題なのは、始めるのが少し遅れることそのものではなく、「まだ何も始めていない」状態をこの先もずっと続けてしまうことなのです。

世の中の流れは、完全に変わりました。日本経済は長いデフレの停滞を脱し、はっきりとインフレの局面に入っています。皆さんも日々の買い物の中で、食料品や日用品、外食代、光熱費など、あらゆるものが前より高くなったと感じているでしょう。物価が上がる局面では、現金の価値は相対的に下がっていきます。銀行口座にお金を置いたままでは、額面は変わらなくても、買えるモノやサービスは少しずつ減っていくのです。

一方、株や投資信託は、モノやサービスを生み出して利益を上げる企業の価値に連動する資産です。インフレの局面では、こうした資産を持っておく意味が大きくなります。ですから、今からでも始める価値は十分にあります。

いきなり大きなお金を入れる必要はありません。まずはNISA口座を開設し、少額でも積み立てを始めることです。最初の一歩を踏み出せば、後から金額を増やすこともできますし、知識をつけて個別株投資に進むこともできます。口座を開設しない限りは、何も始まりません。本稿では、あなたがその第一歩を踏み出せるよう、わかりやすくガイドしていきます。

スマホと免許証があればすぐに始められる

まずは、証券会社を選びます。スマートフォンやネットの操作にどうしても不安がある人は、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)と銀行のキャッシュカードを持って、証券会社や銀行の窓口に行きましょう。対面で担当者が口座開設から積み立て設定まで進めてくれます。

以前は「窓口のある証券会社は手数料が高い」「銀行だと選択肢が少ない」といったデメリットが言われていました。ですが最近は、どの金融機関も手数料が抑えられた初心者向けの投資信託をそろえています。

たしかに、ネット証券で買える低コスト投資信託の手数料が0.1%程度なのに対し、窓口で買える同等の商品は0.2~0.3%と割高ではあります。しかし、このわずかな差にこだわって始めないことのほうが、はるかに損です。最安の商品を探して止まるくらいなら、すぐに始められるメリットを選んでください。

(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)