「動かない物は食わない」確率は五分五分

筆者は明治、大正、昭和と約80年分の北海道の地元紙を通読し、また市町村史、村落史、自伝、林業専門誌などにも目を通して、ヒグマに関する記事、挿話を抽出、データベース化し、拙著『神々の復讐』(講談社)にまとめた。

先人たちの体験から、クマと遭遇したときの効果的な対策について考えてみたい。

ヒグマ
2025年は北海道福島町で新聞配達員が喰い殺されるなどクマによる人身被害が多発している。
①「死んだふり」は有効か?

「ヒグマに遭ったら死んだ真似をすると助かる」という俗説は広く信じられているが、これは「クマは動かない物は食わない」という、これまた俗説によるもので、専門家によれば確率は五分五分であるという。実際に助かったケースでも、けっこうな怪我を負わされることが多いようだ。古い事例では明治の初め頃に、次のような事件があった。

(写真=時事通信フォト)
【関連記事】
アリの小さな体は孤立のストレスにどう対処しているか…古藤日子『ぼっちのアリは死ぬ』
87歳・養老孟司が語る「老化の正体」…日本人の3人に1人はなぜ《高血圧》なのか?
なぜ40℃超の「異常な猛暑」が日本で頻発しているのか?
20世紀の地球科学に「革命」をもたらした8編の古典論文を読み解く…『プレート・テクトニクス革命』
世界の未来と直結する北極をめぐる国際情勢を総力取材…『北極が教える未来』