シャッター街の商店街がなぜ復活できたのか

「シャッター街」になった商店街で、賑わいを取り戻した場所がある。仕掛けたのはホテルだ。しかも「商店街ごとホテルにする」という、前例のない方法で。最盛期に約780店舗が軒を連ねたこの商店街は、半数近くがシャッターを下ろした。そこに「泊まる」という選択肢が生まれ、街は大きく変わり始めた。

SEKAI HOTELの北川茉莉さんがホテル化を手がけた大阪府東大阪市の布施商店街
SEKAI HOTELの北川茉莉さんがホテル化を手がけた大阪府東大阪市の布施商店街。

最盛期は週末ともなれば人波が絶えなかった。しかし高度経済成長期以降、郊外型の大型ショッピングモールが次々と出店し、消費者の足は商店街から遠のいていった。個人経営の店舗は価格競争に勝てず、後継者も見つからないまま閉店を余儀なくされる。かつて活気あふれた店先に、ひとつ、またひとつシャッターが下り、営業店舗はおよそ400店と最盛期の半数にまで落ち込んだ。

このシャッターをふたたび開けた「SEKAI HOTEL 大阪布施」。商店街に「泊まる」というアイデアが、行き詰まった街を大きく変えることになった。

「SEKAI HOTEL 大阪布施」は商店街に点在する建物や店舗を客室として活用し、銭湯や喫茶店などと連携することで、入浴や朝食といった機能も地域の店舗や施設で担う。商店街全体をホテルに見立てる、それがこの施設の特徴だ。

「『街を周遊する』ことを前提にしたホテル」。そう語ったのは、SEKAI HOTELのプロジェクトマネージャーである北川茉莉さん。

地元の人にとっては当たり前の日常を、宿泊者にとっての特別な滞在体験として再編集する。そこにこそ「SEKAI HOTEL 大阪布施」の独自性がある。

空き家を改装して客室に、入浴は銭湯で

こうしたホテルのあり方を構想したのが、「SEKAI HOTEL 大阪布施」の運営会社である「クジラ」の代表取締役、矢野浩一氏だ。

矢野氏は当初、使われていない不動産をリノベーションし、民泊施設として活用する事業を進めていた。しかし、民泊市場の拡大とともに差別化は難しくなり、価格競争に巻き込まれやすくなっていった。

その発想を具体化する場として、矢野氏が着目したのが商店街だ。宿泊機能を街のなかに分散させつつ、飲食店や銭湯など地域の営みを宿泊体験の一部として取り込みやすい場所だったからである。

地道な積み重ねを続け、2018年に「SEKAI HOTEL 大阪布施」がスタートした。

(文・写真=マーガレット安井)

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