なぜ税負担が軽くならないのか。エコノミストで日本成長戦略会議の有識者メンバーの会田卓司さんは「財務省には、消費税を中心とした『安定財源』重視の考えがある。しかし、景気の良し悪しに関わらず税金を取り続けることは日本経済の成長を止めるリスクがある」という――。(第1回)

※本稿は、会田卓司『サナエノミクス 高市成長戦略』(ワック)の一部を再編集したものです。

財務省が減税を拒む真の理由

――財務省が「プライマリーバランスの黒字化」を目指したがる方向はよくわかりましたが、消費減税に及び腰なのも、その一環でしょうか? 減税したら、将来的に景気が良くなった際、税収増も少なくなるという思惑があるのでしょうか?

特に減税を嫌うのは、消費税に対してですね。消費税は景気が良くても悪くても、消費量は大きく変わらないので、消費税収入は安定財源になります。一般企業を考えれば、変動の大きい収入よりも安定した収入のほうがいい。政府も同じで、安定収入のほうがいいと思ってしまうわけです。

ただ問題があります。景気の良し悪しに関わらず一定の税収を取ってしまうということは、景気の振幅をより大きくしてしまいます。景気が良い時に税収をたくさん取るのはいいでしょう。所得税には累進課税制度があり、それが景気を安定させます。

その一方で、景気が悪化し、企業が赤字になれば法人税が減り、累進課税ですから所得税も減りますから、自動的に減税になり、やがて景気を押し上げます。失業手当などのセーフティーネットの支出も増えます。これを財政の「景気の自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)」と呼びます。

電卓と、税金と書かれたブロック
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「社会保険料」を盾に消費税を引き上げる

いわば税や社会保障制度にあらかじめ組み込まれた景気変動を自動的に緩和する機能ともいえ、好況時には所得が増えるため、累進課税によって税収が自動的に増えます。一方、不況時には所得が減るために所得税が下がり、失業保険などの社会保障費が増えることで、消費の冷え込みを緩和する効果を生みます。

ただ「安定財源を目指す」というと聞こえはいいのですが、景気の良し悪しに関わらず、一定の税収を取ってしまうと、景気の自動安定化装置が働かず、景気の振幅を大きくするという代償を払うことになる。それなのに、財務省は消費税にシフトしたいのです。

法人税、所得税という不安定な財源から消費税に比重を移せば「安定財源」が確保されます。したがって「社会保険料の財源が必要だ」と声高こわだかに叫ぶのです。しかし安定財源というと良いことのように思えますが、結果として景気の振幅を大きくしています。安定財源と景気の安定は二律背反の関係にあるということがあまり知られていません。

消費税はそもそも社会保障目的で設立されましたが、一般財源です。ただ、社会保険料全体と比較すると消費税額は当然、小さいし、お金には色がついてないので、ある意味で「すべて社会保険料に使っている」としている。2014年からの消費税引き上げと社会保障費の増加額を比べると、社会保障費の増加額のほうが小さく、消費税収のほうが6兆円程度も大きくなっています。