積極財政で国力を強化する
今まさにその対立軸をめぐる争いになっているといえます。高市政権も積極財政でグローバルな経済政策の潮流の変化に乗るため、より柔軟な財政目標に変えて成長投資の競争を勝ち抜き、国力の強化に取り組むことにしています。
とはいえ、プライマリーバランスの黒字化は積極財政では無理なので、たとえば、人件費などの経常的な収支は税収・税外収入の範囲内にし、投資的な経費、成長投資は国債でやるのがいい。そういう施策を講じれば、財務省も政権の財政目標を受け入れ、柔軟な財政規律を目標に変えることができるでしょう。
また、日本政府はずっと単式簿記(金の収入や支出など一つの取引要素のみを家計簿のように記録する手法)で予算を運用していますが、転換できる可能性は大きいはずです。私は「資金循環統計」というものを使っていますが、これは複式簿記(すべての取引を「借方」と「貸方」という2つの側面〈原因と結果〉から記録する会計手法)であり「誰かの資産は誰かの負債」という考え方です。
借金を返すほど日本は苦しくなる
そういう考え方をすれば、国債残高とは、いわゆる国民、民間の資産であることがしっかり理解できるはずです。要するに会計の世界では、国債残高を100兆円減らすのは、いわゆる民間の資産を100兆円減らすことと同じです。
ですから複式簿記の考え方をすると、減債という概念そのものがおかしいことが理解できます。だからこそ諸外国では減債などしません。
減債とは、国や地方自治体、企業などが負債(借金)を計画的に返済し、減らしていくことですが、特に満期に一括して返済する地方債などの元本支払いに備え、毎年度一定額を積み立てる「減債基金」や、長期負債の返済に備える「減債積立金」などがあります。
ただ、景気があまりにも強く、景気を抑制しようとするときは、減債は大きな引き締め効果があるので実行することもあります。税収で借金を返すという減債方法による景気過熱時の引き締め策は、ITバブル期のクリントン政権が行ったことがあります。



