人類の歴史上でも最大の地殻変動が起きる
AIの進化がもたらすインパクトは、これまでの歴史上のどんな技術革新も遠く及ばない、文字通り「桁違い」の地殻変動になるでしょう。
AIの進化は、産業革命やインターネット革命と並んで語られることがあります。しかし、それでは現実を正しく捉えられていません。蒸気機関の効率は、ある程度まで改良が進めば、そこから倍になることはありませんでした。インターネットの通信速度も、物理法則の制約を受けます。
しかし、AIは違います。「AIがAI自身を進化させる」のです。人間が改良するのではなく、AI自身が自らを書き換え、さらに賢くなっていく。もはや人間の頭脳では何がどうやって進化したのかすら理解できないけれど、実際に進化しているからそのまま使う。今後、そのようなことが当たり前になっていくでしょう。
この自己進化のループに「天井」はありません。だからこそ、AIが社会にもたらす変化は、パソコンやインターネット、スマートフォンの誕生を上回る、とんでもなく大きなものになると確信しています。電気・ガス・水道に匹敵する社会インフラとなり、私たちの社会やライフスタイルに不可逆的な変化をもたらすでしょう。一度そんな社会で暮らしてしまうと、「AIのない社会」を想像することすら難しくなると考えています。
私はマイクロソフトでウィンドウズ95の開発に携わるなど、四十数年にわたってソフトウエアエンジニアとしてキャリアを積んできました。現在もシアトル在住の現役エンジニアとしてAIがもたらす変化を最前線で観察し続けています。その私から見て、いまアメリカで起きている変化はかつて見たことのない水準であり、この変化は日本にも必ず波及すると予想しています。
本稿では、1年後、3年後、5年後、そしてそれ以降の未来を順に予測し、ビジネスパーソンがいま何を考えるべきかをお伝えします。
AIのコーディングはこの半年でプロレベルに
アメリカでは現在、AIの急速な普及によって大きな社会的変化が起きています。その影響の大きさは業界によって違いますが、最も強く受けているのは、やはりソフトウエアエンジニア業界です。
AIが話題になって数年がたちますが、そのコーディングのレベルは向上し続けています。3年前のレベルを1とするなら、2年前は10、1年前が100、現在は1000というほどの爆発的な進化です。数年前までは、AIにプログラムを書かせても粗さのほうが目についたので「自分で書き直したほうが速い」と感じていました。いわば大学を出たての未経験のプログラマーといったレベルだったのです。
ところが、この半年で「プロとして10年働いているエンジニア」といえるレベルにまで急成長しました。もはや自分でプログラムを書く必然性はどこにもなく、私はAIに指示を出すだけの立場です。まるで、私がマネジャーで、AIという優秀なエンジニアに実作業を任せているような感覚です。
その結果、生産効率は途方もなく上がっています。体感としては、以前なら2〜3カ月かかっていた仕事が、3〜4日で終わるような、飛躍的な向上です。しかも、スピードは私が手を動かすよりも圧倒的に速い。単に「速く書ける」のではなく、指示した通りのものをほぼ完璧に仕上げてくれるレベルに達しているのです。当然ながら、この状況では若手エンジニアは完全にAIに置き換えられてしまいます。各企業がエンジニアの大幅削減に動いているのは、当然の帰結なのです。
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