AIが経済を動かし、戦争を変え、国家の形すら揺るがしている。米中に大きく出遅れた日本には何ができるのか。ジャーナリストの船橋洋一氏が敗因と突破口を語った。

「人間が主役」の歴史は終わりつつある

AIは、人間にとってそれこそ“歴史の終焉”になるかもしれません。『サピエンス全史』などの著作で有名な歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリは、AIの台頭で「人間が主役であった歴史が幕を閉じる」と指摘しました。

船橋洋一著『戦後敗戦』実業之日本社 本体2800円+税
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これまでの発明が人間の力を増幅する道具だったのに対し、AIは自ら判断し、新しいアイデアを生み出していく。仕事が便利になり、人の職が奪われるといった次元には収まりません。AIは、国家のあり方とパワーの性格と国際政治の力学をも変えようとしています。AIが文明を形づくり、「国々の興亡」を決する時代が来るのです。

このことを早くから見抜いていたのが、米国の元国務長官ヘンリー・キッシンジャーでした。彼はグーグル元CEOのエリック・シュミットらとの共著において、AIを用いたドローン兵器や偽情報の拡散による認知戦などに言及し、AIの軍事利用がもはや不可避であること、そしてその恐ろしい意味合いに警告を発していました。

(構成=水嶋洋大 撮影=的野弘路)