若者の恋愛離れが言われる背景には何があるか。博報堂生活総合研究所主席研究員の酒井崇匡さんは「恋愛離れの正体は恋人の減少ではなく、『友達以上恋人未満』の激減だ。かつて男性で23.6%、女性で25.4%いた『友人として交際している異性』が、男性で4.7%、女性で6.0%にまで減少している」という――。
※本稿は、金間大介、酒井崇匡『仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル』(SB新書)の一部を再編集したものです。
そもそも昔の若者は本当に恋人がいたのか
国立社会保障・人口問題研究所が約5年おきに実施している「出生動向基本調査」では、1987年の第9回調査以降、現在の異性との交際状況を「恋人として交際している異性または婚約者がいる」「友人として交際している異性がいる」「交際している異性がいない」という3択で調査している。図表1が18~34歳未婚、男女別の結果である。
そもそも、「今の若者は恋愛離れしている」という言説が流布すると、何となく上の世代は若い頃、みんな恋人がいたのだと思い込みがちだが、別にそんなことはない。
最新の調査年である2021年調査の「恋人として交際している異性または婚約者がいる率」は男性で21.1%。ピークは2005年調査の27.1%なので、確かに恋人/婚約者のいる率は漸減しているように見える。
女性のピークは2002年調査の37.1%で、2021年調査では27.8%なので同様だ。
ただし、裏を返せば男女ともにピーク時であっても18~34歳未婚者の6~7割は恋人や婚約者がいなかった、ということでもある。上の世代はみんな恋人がいた、というのは完全な誤りで、そんな人は当時でも3人に1人程度が関の山だったのだ。
それに、この項目の聴取が始まった1987年調査の男性の恋人/婚約者のいる率は22.3%と2021年調査とほとんど差がない。この時点の調査対象者は現在の50代後半~60代の人が中心だが、少なくともその世代の男性陣が「俺たちが若い頃は女の子をこうやって口説いたもんだ……」みたいな話を今の若者にする資格はほとんどないと言えよう。


