異性ではなく同性同士の二人に居心地の良さ

現在の大学のキャンパスでは、セクハラなどのハラスメント防止の啓発は学生同士の関係においても進んでいる。

同じ学部、同じコミュニティ、同じ界隈といった範囲での炎上騒動を身近で見聞きしている若者も少なくなく、特に問題になりやすいのはやはり異性との関係だ。

そういう自分にとってリスクになるタブー要素を若者は意識的にも無意識的にも避け、コンプライアンス(コンプラ)を遵守するようになっている。

そんな調子だから、一緒に連れだって出かける時の「一番居心地のいい組み合わせ」も大幅に同性寄りにシフトしている(図表2)。恋愛至上主義真っ只中の1994年調査では約4割が「異性との二人」を挙げており、また、「男女二人ずつ」というダブルデート的な組み合わせを選ぶ人も約3割いた。

異性を含めた組み合わせを選んだ人は合計で約75%に及ぶ。それが2024年調査では異性を含む組み合わせを全て合計しても35%程度にまで減少しているのだ。

一方で大幅に増加したのが「同性同士の二人」。3人中2人はこの組み合わせを一番居心地がいいと回答している。同性との居心地が良くなった、という側面もあるだろうが、それ以上に異性との居心地が悪くなった、気の置けない関係が作りにくくなったことを痛感させられるデータだ。

コンプラに抵触しない恋愛とは

「コンプライアンス」(法令遵守)という言葉が日本に輸入されてきたのは90年代後半だが、一般にも広く知られるようになったのは00年代半ばくらいからだろう。

当初は企業の損失隠しとか産地偽装などのニュースで登場する言葉だったが、2010年代に入るとハラスメントなど幅広い文脈で使われるようになった。

そして、今や大学生の口から自然と「コンプラは気をつけないと」という言葉が発せられるまでになっている。彼らはコンプラという言葉が社会に定着するのと同時に生を受けた、コンプラ・ネイティブ世代なのだ。

彼らにとって遵守すべきことの中には、法令だけではなく自分が所属しているコミュニティでのコンテクストも含まれている。

ゼミやサークルは、あくまでも対象となる勉強や活動をすることが全員が共有しているコンテクストであって、そこに恋愛という要素を持ち込むのはリスクでしかない。いや、昔からそうではあったのだろう。

ただ、若者と会話していると許容度が以前より低くなっている。特に自分自身がコミュニティのコンテクストを乱してしまうことをかなり恐れていることがひしひしと伝わってくる。