朝のジュース1杯で血管の老化を防ぐ
「痩せているのに、たくさん食べますね」とよく言われます。その秘密は「1日の食事を設計する」ことにあります。私が食事で意識しているのは、血糖値を急激に上昇させないことと、内臓脂肪を増やさないことの2つ。これを軸に、朝と昼の食事をコントロールすれば、夜は気兼ねなく食べられます。内臓脂肪はがんや心血管疾患、認知症との関連も指摘され、増やさないことが多くの疾患予防につながります。
池谷医院院長。1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)など、著書多数。
朝食は、ニンジン1本半とリンゴ半分を使ったフレッシュジュースから始めます。オリーブオイルとレモンを加えて飲むのが習慣です。オリーブオイルは、ポリフェノールなど抗酸化作用のある成分を含み、動脈硬化予防にも寄与します。レモンはビタミンCの補給と爽やかな風味のために加えています。医師という職業柄、外来診療や会食などと、昼や夜の食事は予定どおりにならないこともあります。だからこそ、ビタミン、ミネラル、食物繊維は朝のうちに前倒しで確保しておく、というのが私の考え方です。
たんぱく質は「ジーマーミ豆腐」で摂ります。落花生のペーストを固めた沖縄の伝統食品で、大豆の豆腐とは別物。たんぱく質と良質な脂質を含んでいます。以前はたんぱく質摂取のためにヨーグルトを食べていましたが、私は乳糖不耐症で、お腹が緩くなりやすいため、切り替えました。
皆さんが想像する「朝食」とは印象が違うかもしれませんが、必要な栄養素をもとにサプリメントを揃えていったら、このような「メニュー」になりました。食べ終えるまでに5分とかからず、慌ただしい朝にはぴったりです。「これではすぐにお腹が減るだろう」と思われるかもしれませんが、血糖値の急上昇・急下降が起きないため、意外と昼まで空腹を感じずにもちます。逆にパンやごはんなどから糖質を摂ると、血糖値の乱高下があるぶん、昼前に何か食べたくなってしまいます。
サプリメントはエビデンスのあるものを選んで積極的に活用しています。ビタミンCは体内に長時間とどまるタイプを選んでいます。NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)はビタミンB3から生成される成分で、長寿遺伝子に働きかけるとされています。水素は抗酸化・抗炎症作用への関与が示唆される研究があり、ケイ素が体内の水分と反応して水素を発生させるタイプの錠剤を摂取しています。
腸内環境を良好に保つのに重宝しているのが玄米酵素です。栄養の宝庫とされる玄米を麹菌で発酵させた顆粒タイプで、口に入れると香ばしい玄米の味がします。食物繊維が豊富で、腸内細菌にとって良い環境をつくります。
EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)については、高脂血症の治療薬として使われる医療用医薬品を自分で処方して服用しています。市販品(サプリメント)でも摂取はできますが、純度が大きく違います。健康診断で高脂血症の診断が下りた方は、かかりつけの内科医に相談すると処方してもらえるでしょう。
コーヒーは1日3〜4杯を飲みます。もともと好きで飲んでいるのですが健康効果が次々に明らかになり、機能性も意識して選ぶようになりました。たとえば「クロロゲン酸」には抗酸化作用があり、摂取量が多い人ほどがんや神経系疾患による死亡リスクが低いという研究報告が出ています。さらに近年注目されているのが脂肪細胞に作用する「トリゴネリン」という成分です。
脂肪細胞にはエネルギーを蓄える白色脂肪細胞と、熱を産生して消費する褐色脂肪細胞の2種類があります。加齢で白色脂肪細胞が優位になり、いわゆる「燃えない体」になっていきますが、トリゴネリンは白色脂肪細胞に刺激を与え、褐色脂肪細胞のように働く「ベージュ化」、つまり「燃える人」に変化させてくれると判明しました。
ただし、トリゴネリンは焙煎の過程で失われやすく、どのコーヒーにも同じように含まれているわけではありません。最近、UCCからトリゴネリンを多く含むコーヒーが出たので、外出先ではもっぱらこれを飲んでいます。
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