朝を多めに食べれば代謝が上がる
かつての私は、朝食を抜き、昼も夜もコンビニやファストフードで済ませる生活をしていました。空腹のまま一度にまとめて食べるため、結果的に摂取量が増え、標準体重を大幅に超え71キログラムまで増加。肌荒れや倦怠感も続き、「このままではいけない」と感じていました。転機になったのは、食べ方を見直したことです。「いつ」「どんな順番で」「どう食べるか」を意識したことで体重は自然に落ち、肌の透明感が戻り、メンタルも安定しました。
医療法人康梓会グループ統括院長。医師、医学博士。大阪大学医学部大学院医学系研究科未来医療学寄附講座特任准教授を兼務。専門は再生医療やアンチエイジング療法など。テレビや雑誌などメディアでも活躍。『本当に正しいキレイのつくり方』(SBクリエイティブ)、『長生きダイエット』(内外出版社)など著書多数。
私の食事の基本は、1日の摂取カロリーを「朝5:昼3:夜2」の比率で配分することです。朝にもっとも多くエネルギーを摂り、夜は軽めに抑えます。朝は、1日のなかで代謝がもっとも活発になる時間帯です。体内時計の「サーカディアンリズム」が動き出すタイミングに、必要な栄養をしっかり入れることで、日中のエネルギー効率が上がります。卵や魚、納豆などのたんぱく質を中心に、良質な脂質と野菜を組み合わせ、適度な糖質も加えます。
夜を軽くするのには、明確な科学的根拠があります。私たちの体には「BMAL1(ビーマルワン)」と呼ばれる時計遺伝子が存在し、脂肪の合成を促す酵素を増やす働きを持っています。BMAL1は夜間に急増し、午後10時から午前2時にかけて日中の約数倍以上に達することもあります。つまり、同じものを食べても、夜に食べると脂肪になりやすいのです。
大切なのは、夜の制限を「我慢」で行わないことです。朝の食事を充実させれば、夜は自然に食欲が落ち着きます。「夜を減らす」のではなく「朝で整える」という発想の転換です。
私の「朝5:昼3:夜2」には、間食は含まれていません。私は朝と昼の間、昼と夜の間に1回ずつ、意識的に間食を摂るので、厳密には「1日5食」になります。ただし、1日の総摂取カロリーはそのままに、回数だけを分ける「分食」という考え方です。狙いは血糖値の振れ幅を小さく保ち、インスリンの過剰分泌を防ぐことにあります。
間食には、血糖値が上がりにくい食品を選びます。ナッツはその代表格で、小分けにして持ち歩くと管理しやすくなります。ほかにも、ビーフジャーキーや昆布、キシリトールガムなどもよいでしょう。噛むことで唾液腺が刺激され「パロチン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。これは別名「若返りホルモン」とも呼ばれ、肌や髪の細胞の生まれ変わりを促します。
会食にも、分食の考え方は応用できます。30分ほど前にゆで卵やナッツなどの、簡単に摂れるたんぱく質を食べておきます。いわば、本格的な食事の前の「仕込み食べ」です。空腹時にアルコールが入ると血糖値の乱高下はさらに激しくなります。仕込みを習慣にしてからは、会食後の体のだるさが明らかに減りました。
食べる順番は、老化の速度にかかわります。私が実践しているのは「ミートファースト」、つまり肉や魚などのたんぱく質から食べ始めることです。
たんぱく質や脂質が小腸を刺激すると「GLP-1」と呼ばれるインクレチンホルモンが分泌されます。GLP-1には胃の動きをゆっくりにする働きがあり、後から食べた糖質が小腸へ送られるスピードが遅くなります。結果として、血糖値の急上昇を物理的に防ぐことができるのです。
食べる順番にこだわるのは「糖化」を防ぐためです。血液中の余分な糖がたんぱく質と結びついて変質したものを「AGEs(終末糖化産物)」と呼びます。酸化が「体の錆び」なら、糖化は「体の焦げ」。AGEsが蓄積すると、肌の弾力を保つコラーゲンが変性劣化し、しわやたるみ、くすみの原因になります。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
- 広告最小化で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント



