健康でいるためには、どんなことに気をつけるべきか。医師の日比野佐和子さんは「日本人は紫外線のリスクを軽視している。日焼け止めだけでなく、サングラスでケアをしないと目だけでなく、全身に深刻なダメージを与える」という――。(インタビュー、構成=ライター・市岡ひかり)
クロアチアのビーチを映すサングラス
写真=iStock.com/Finn Hafemann
※写真はイメージです

こんなサングラスは絶対に買ってはいけない

――紫外線の目へ影響について教えてください。

目から入る紫外線は軽視されがちですが、実は深刻な影響を及ぼすことがあります。

例えば、野外で活動する人に多いのは「翼状片よくじょうへん」という疾患です。白目と黒目の間、特に鼻側に多いですが、三角形の形をした赤い充血の塊のようなものが結膜にできてしまうものです。白目(結膜)が濁ったように見えます。

角膜の中央付近まで侵入すると乱視が悪化し、視力の低下につながります。眼鏡では矯正することが難しいので、手術によって切除する必要があります。

――翼状片にはどんな治療が必要になるのでしょうか。

外科的な処置が必要です。ただ、手術で取った後も再発することがありますので、まずはしっかり予防することが大切です。

つばの大きい帽子を被ったり、UVカット機能のあるサングラスや眼鏡をしたりするのが有効です。外で活動する場合は、紫外線が一番強い午前10時~午後2時を外した時間帯にするといった工夫が必要です。

撮影=髙須力
眼科医としての臨床経験も豊富な日比野医師。再生医療やアンチエイジングにも取り組む。

最近は、サングラスでも「UV効果のない色付きの眼鏡」も売られていますが、これが目にとっては一番危ない。視界が暗くなるので瞳孔が開いてしまい、紫外線が目の奥の網膜へ到達することによって、余計に目に与える影響が大きくなります。UVカット機能のものを使用することが大切です。

紫外線→白内障→認知症

この対策は夏だけでなく、一年中必要です。紫外線を浴び続けていると、体内の活性酸素が障害を起こし、紫外線角膜炎になったり、水晶体がダメージを受けて白内障の原因になったりすることもあります。言うまでもなく、白内障が進行すると視力が低下し、眼鏡でも矯正できなくなります。

白内障の進行とともに、認知症のリスクも高まると言われています。脳に送られる外からの情報の8割以上は目からの視覚情報です。白内障になれば必然的に脳に送られる情報の質が低下します。その結果、脳が活性化されず、認知症の発症率を上げると言われています。