日本語のX投稿が海外で拡散される事例が増えたと、海外メディアが報じている。AIによる自動翻訳で、言語の壁が取り払われたことが一因だという。理由はそれだけではない。海外メディアは、日本のSNSは「インターネットに残された最後の秘境」と報じ、注目している――。
ソーシャルアプリ
写真=iStock.com/lixu
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アメリカ人が熱狂した「焼肉イラスト」

アメリカ発ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)は、世界でも日本で最もよく利用されている。Xのプロダクト責任者ニキータ・ビア氏によれば、日次アクティブユーザー数は本国アメリカをも上回り世界最大だという。

タイムラインには食事から街の風景までさまざまな“日常”が流れる。2026年3月、そうしたごく普通の投稿が突然太平洋を越え、アメリカで大きな話題になった。なぜこんなことが起きたのか。きっかけの1つは、長崎県佐世保市から投稿された1枚のイラストだった。

米海軍基地がある佐世保で、ある日本人Xユーザーが地元の焼肉店の光景を描いた一枚のイラストを投稿すると、太平洋を越えたアメリカで熱狂的な反応を呼んだ。

描かれていたのは、焼肉店で分厚い肉を焼きながら歓声を上げる米兵たちの姿だ。屈強な3人の男がグリルを囲み、ビール片手に「焼肉‼」と大いに盛り上がっている。

このイラストが米ユーザーたちのタイムラインに流れ込むと、心温まる投稿が殺到。日米で互いの日常をオーバーに表現して面白がる交流が、自然と広がっていった。

テキサスから届いた招待状

一連の盛り上がりは、米金融情報サービスのブルームバーグのオピニオン記事でも取り上げられるほどの一大ムーブメントとなった。

焼肉イラストの投稿者のふとしSLIMさんは投稿で、「佐世保の飲食店では楽しそうに食事をする米軍兵士をよく見かける」と紹介。「ある日焼肉店で見かけたグループは、(提供された)ベーコンを見て異様なテンションに達していた」と、純粋に日本の焼肉を楽しむ海外利用者の様子を伝えたかったようだ。

何気ない投稿だったが、これをきっかけにオンラインの文化交流がスタート。焼肉投稿の翌日、3月27日には、別ユーザーのホットケーキくん(ホッケチャンネル)が、分厚いステーキ肉を囲んで庭で談笑するアメリカ人とみられる男性たちの写真を投稿。「いつか現地でこれに参加したい」とメッセージを添えたところ、現在までに4600万回以上表示される盛り上がりを見せた。

投稿の次の日までに、「テキサスに来い。無料だ」「南部州は肉ゾーンと呼ばれている」など、自宅に招待する熱烈な歓迎メッセージがアメリカ人ユーザーたちから押し寄せたという。

ほかにも両国のタイムラインを埋め尽くしたのは、カウボーイと侍が肩を並べて肉を焼くAI生成の創作画像や、日本の怪獣映画の主役・ゴジラとアメリカの国鳥・ハクトウワシがタッグを組むイラストなど。また、日本特有のコンパクトな軽自動車に乗り込みハンドルを握るアメリカ人の画像なども次々とシェアされた。いずれも日本とアメリカを象徴するネタを軸に、海を越えた結束をユーモラスに表現したものだ。