なぜ日本の投稿が突然バズったのか

米ミーム情報サイトのノウ・ユア・ミームによると、Xは2026年3月中旬から後半にかけて、タイムラインに並ぶ投稿を選ぶフィードアルゴリズムを刷新。あわせてAIによる自動翻訳機能を導入した。この2つが重なり、アメリカのユーザーのタイムラインは突如として日本語の投稿で埋め尽くされることとなった。

「Xにおける日米の交流(Japanese-American X Crossover)」と呼ばれたこの現象はたちまちX以外のソーシャルメディアにも波及し、多くのアメリカのユーザーが日本語の投稿を心温まるコンテンツとして歓迎した。Xにとって思わぬ追い風だとする声まで上がっている。

実現の上で欠かせなかったのが、米「xAI」のAIモデル「Grok」による自動翻訳機能だ。xAIはXと同じくイーロン・マスク氏が率いる。

アリゾナ州グレンデールのステートファーム・スタジアムで行われたチャーリー・カーク氏の追悼式典に出席したイーロン・マスク氏
アリゾナ州グレンデールのステートファーム・スタジアムで行われたチャーリー・カーク氏の追悼式典に出席したイーロン・マスク氏(写真=Gage Skidmore/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

Grokの翻訳機能自体は、アルゴリズム刷新に先立って展開が進んでいた。米SNS専門ニュースサイトのソーシャル・メディア・トゥデイは2025年8月、Xがこの機能をアメリカの全ユーザーに開放したと報じている。日本語を含む世界中の言語から英語への一方向翻訳で、投稿に表示される「翻訳」オプションを選ぶとGrokが訳文を即座に生成する仕組みだ。

日本のXはインターネットの「最後の秘境」

ブルームバーグのコラムニストであるリーディー・ガロウド氏は、同メディアへの寄稿で、日本語のXは「インターネットに残された最後の秘境のひとつ」だと表現している。

リーディー氏はまた、日本語のX投稿の世界は、「アメリカ人が最も愛するインターネットの一角」(America's Favorite Corner of the Internet)だとも呼ぶ。

タイムラインに日本語の投稿が英語に自動翻訳されて流れてくるようになったことで、意識せずとも日本文化に触れる機会が生まれた。ブルームバーグによるとあるユーザーは、「このアプリで経験した中で、おそらく最大のプロダクト改善だ」と表現するほど気に入っているという。

ブルームバーグは、Xのプロダクト責任者のビア氏が「史上最大の文化交流」と評した今回の現象は、AI翻訳の急速な進歩に支えられてのものだと分析する。

アメリカでは近年、日本発のアニメのファンが着実に増えてきた。だが前出のブルームバーグ記事は、今回のブームを牽引しているのは、もともとアニメに親しんでいるファン層ではないと指摘。より広い層の一般的なユーザーたちが、日本との文化交流に引き込まれたようだ。