恋愛“的”消費の減少

1982年から2003年にかけて発行されていた「Olive」という女性誌の1991年7月1日号では、興味深い特集が組まれている。「友だち恋人宣言! 男の子のいない夏、なんて考えられない!」だ。

ちなみに、40~50代の人は知っているかもしれないが、「Olive」自体は決してモテとか恋愛を前面にした雑誌ではない。むしろ、もともとは「男ウケ」よりも自分らしさを重視する女性像、いわゆる「オリーブ少女」を提案していた雑誌だ。

そんな雑誌ですら、恋人がいなかったら、手近な男友達を恋人っぽく仕立ててしまおうという特集を組んでいたことに、恋愛至上主義だった当時の世相を感じてしまう。もはやこれは一種のプレイに近い。

カップル
写真=iStock.com/PonyWang
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その正体は、「恋愛」というより「恋愛ごっこ」だったのだ(そう断言すると自分自身がえぐられるのだが)。

しかし、商品やサービスを供給する側の立場に立つとどうだろうか。

90年代当時、一定数の若者がちゃんとした恋人関係ではない相手ともレストランでデートし、休日には連れだってスキーやビーチに向かっていた。それが今、急速に消滅に向かっている。

何が言いたいのかというと、消費市場という視点から見れば、「恋愛離れ」というのは実際に起こっている現象でもあるのだ。

ただし、その中身を見ると、ちゃんとした恋人同士による消費が減少したというよりも、恋愛至上主義の世相が作り上げた「友達以上恋人未満」の男女による恋愛“的”消費が減少したことのインパクトが大きいということなのだ。

さらに言えば、近年盛り上がっている推し活に関連する消費の一部には、当時の恋愛“的”消費の要素が引き継がれているようにも思われる。

恋愛したい若者は恋愛できているのか問題

さて、ここまでどちらかというと若者に肩入れするというか、上の世代の「恋愛しない今の若者と違って、俺たちは恋愛してきたぜ!」というマウントに異議を申し立てる形で論を進めてきた。

実際のところ、現在でも恋愛している、恋人のいる若者はゼロになったわけでは全くない。それは前述の「出生動向基本調査」のデータを元に明らかにした通りだ。

また、生活総研の「若者調査」のデータを見ても、だいたい3人に1人は「現在、デートをする相手がいる」と回答している。

これらのデータに多少安心する一方で、やはりちょっと気になるというか、若者、やっぱり窮屈なのでは? と心配になるデータもある。

同じ「若者調査」では「異性の友達とHな会話をすることに抵抗がない」という項目がある。1994年調査では男女ともに約6割が抵抗がないと回答していたが、2024年調査では男女ともに半数割れしており、特に女性では3割台まで激減している。

実際、若者にインタビューしていても、かなり異性とのコミュニケーションには性的なニュアンスが含まれないよう気を使っていることが窺える。

「同性の友人とは男子校ノリで気兼ねなくふざけた話で盛り上がれるけど、異性がいる場では変な展開にならない話題を選んだり、気を使ったりする必要があります」という男性の声があれば、女性からも「同性の友人と一緒に遊ぶときのほうが、気兼ねなく露出度の高い服でおしゃれできる」という声があがる。拒否回避欲求の強い若者としてはある意味で当然の所作かもしれない。