局面を問い直す会社が、次の10年をつくる
3つの古典を開いたあと、経営陣との議論は、いつも同じ場所に戻ってくる。
孫子は、水が地形に応じて形を変えるように、局面に応じて打ち手を変えよと説いた。トゥキディデスは、最強のアテナイが、その強みゆえに引き返す機会を失っていく姿を描いた。シェークスピアは、保証だと信じた言葉が、動き出した森の前で崩れていくマクベスを描いた。3つの物語が教えてくれるのは、局面を一度正しく読むことに加えて、読み直し続けることの大切さである。
頂点にいる会社は、変わるための資金も人材も信用も、最も豊かに持っている。局面を問い直す習慣があれば、その資源を、いまの強みを守るためだけでなく、次の始まりをつくるために振り向けられる。好調なときにこそ「私たちはいま、どこにいるのか」と問える会社が、次の10年をつくっていく。
次に中長期経営計画をつくるとき、売上目標の表を開く前に、経営陣でこの問いを置いてみてほしい。この産業は、いまどの局面にあるのか。そして、自社はどこにいるのか。答えが割れたら、それは議論が始まった合図である。古典は、その議論を一つの判定へ導き、次の打ち手を選ぶための、長く使える物差しになる。
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