必要なのは丁寧で迅速な対外発信

では、私たちは何をすべきなのでしょうか。

大きな制度の話に聞こえるかもしれませんが、やるべきことは決して特別なことではありません。大切なのは、「わかりやすく、続けること」です。

まず必要なのは、丁寧で迅速な対外発信です。難しい専門用語を並べても、一般の人には届きません。たとえば防衛費の増額について説明するなら、「なぜ増やすのか」「周りの国では何が起きているのか」「日本は何を守ろうとしているのか」を、図や短い動画を使って簡潔に伝えるべきです。

SNSでは、長い論文よりも、要点をまとめた説明のほうが広がります。誤った情報が出た場合には、できれば24時間以内に事実関係を示す。その積み重ねが信頼につながります。

次に重要なのは、海外で日本を学ぶ環境を少しずつ変えていくことです。いきなり「マンガ研究を減らす」必要はありません。しかし、同時に日本の政治や経済、安全保障について学べる機会も増やしていく必要があります。

たとえば、海外の大学に「日本政策講座」を設け、そこに安定した資金を提供することが考えられます。短期的なイベントではなく、5年、10年単位で続く講座があれば、若い研究者も安心して専門分野を選ぶことができます。学生も、「日本には文化だけでなく、政策という面もある」と自然に学ぶことになります。

【図表3】クールジャパン関連産業の海外展開(KGI/KPI)
出典=内閣府「新たなクールジャパン戦略

海外の大学で日本に関する講義を

さらに、実務の現場を知る人の声を届けることも大切です。元外交官や防衛専門家、経済政策に携わった官僚などが海外の大学で講義を行えば、教科書だけでは伝わらない現実が共有されます。「日本はなぜこの政策を選んだのか」「どんな議論があったのか」といった具体的な話は、学生の関心を引きます。実際の経験は、抽象的な議論よりも強い説得力を持ちます。

そしてもう一つ重要なのは、数字と事実を見える形にすることです。日本がどれだけ防災支援を行ってきたのか、どれだけインフラ投資をしてきたのか、半導体産業にどの程度投資しているのか。これらをわかりやすい図や地図、写真付きで公開すれば、専門家でなくても理解できます。難しい報告書だけではなく、誰でも読める形で情報を出すことが必要です。

こうした取り組みは、すぐに劇的な効果を生むものではありません。しかし、静かに積み重なっていきます。信頼は一度に築かれるものではなく、説明と理解の繰り返しの中で育つものです。焦らず、しかし怠らずに続けることが、日本の未来を支える力になります。